業界の闇を暴く映画5選!
告発が絶えない映画業界のセクハラ問題!『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』
ここ数年、芸能界のセクハラが次々と明るみになり、世界レベルでの社会問題となった。そのきっかけを作ったのが、映画業界のハーヴェイ・ワインスタインだ。アカデミー賞作品も次々と送り出してきた、ハリウッドを代表するプロデューサー。しかしその陰では長年にわたって女優や女性スタッフに性暴力、性的虐待を行なっていたことが発覚。#MeToo運動も後押しになり、次々と被害者が名乗り出た。ワインスタインは有罪で収監される。“業界の闇”だったこの事件を世に知らしめたのが、ニューヨーク・タイムズの2人の女性ジャーナリスト。その実態に迫ったのが、この映画だ。 なぜワインスタインの横暴が長年、放置されてきたのか。事件が事件だけに証拠を集めるのが難しいうえ、被害者は示談と引き換えに口封じされてきた。そもそも今後のキャリアなどを心配し、口をつぐむ女性も多数。こうした高いハードルを乗り越える主人公2人の取材ドラマは共感を誘うし、最終的に新聞社がスクープ記事を出すかどうかのギリギリの選択が超スリリングに描かれ、“仕事現場ムービー”としての見どころも満点だ。実際に被害に遭った女優、アシュレイ・ジャッドが本人役で登場。ワインスタインも雰囲気が似ている俳優によって後ろ姿で出てくるなど、リアリティにもこだわっている。
巨大企業が利益を求めて一線を越える『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』
利益優先で、他のことを置き去りにする。ネガティブな面に目をつぶり続けた結果、取り返しのつかない事態になる……。これはどんな業界にも潜む“闇”だ。本作がフォーカスするのは、化学メーカー。かつてアメリカの三代財閥のひとつとされたこともあるデュポン社が、化学物質を川や土壌に流出していた疑惑が持ち上がる。農場経営者から相談を受けた弁護士が、その事実を追求し、訴訟を起こすまでを描いた社会派サスペンス。 巨大企業を相手に孤高の闘いを挑む弁護士のロブを演じたのは、『アベンジャーズ』などのハルク役でおなじみのマーク・ラファロ。そして彼の最大の理解者である妻を、アン・ハサウェイ。2人の熱演によって、人間ドラマとしてもエモーショナルな味わいを誘うのも魅力。国を代表する巨大企業vs.一人の弁護士という構図は、当然のように熱い共感をもたらすし、不屈のスピリットと冷静な調査で立ち向かうロブの姿に、多くの人が生きる勇気をもらえるはず。そして企業の実名をそのまま出して、汚点を映画で伝えるというところに、ハリウッドの正義を感じる人も多いのでは?