「EV逆風下の最高益」中国BYDの強さを読み解く、PHVを積極投入、高いコスト競争力と開発力誇る
2つ目は在庫回転日数の長期化だ。 部材の在庫が何日間で入れ替わっているかを示す在庫回転日数は、2023年の72日から2024年1~6月は78日へと上昇している。ここからも中国NEV市場全体の減速がBYDに影響を与えていることがわかる。 3つ目は営業キャッシュフローが悪化していること。2024年1~6月のキャッシュフローは前年同期の819億元から141億元へと、約83%減少した。サプライチェーンの垂直統合に伴う人件費、部材費の増加が主な原因となっている。
■消耗戦に耐え、ホンダ越えへ 中国の新車市場では熾烈な価格競争が繰り広げられており、すでに始まっているEVメーカーの淘汰はさらに加速する見通しだ。他方、消耗戦に耐えて持続的革新に取り組んだメーカーが真の強者になっていく。 BYDはサプライチェーンの競争力を生かし、コストパフォーマンスでグローバル競争に攻勢を仕掛けている。アメリカ・EUが中国のEVシフトを警戒する中、BYDは今年、タイやウズベキスタンで工場を稼働させるほか、インドネシア、ハンガリーやトルコ、ブラジルでEV工場を建設している。
海外市場での販売台数は2024年1~6月に2.7倍の20.3万台となり、通年では50万台に達する見込みだ。この勢いなら、今年の販売台数でBYDが自動車世界7位のホンダを超える可能性は十分にある。
湯 進 :みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授