国宝・弥勒如来坐像40年ぶり修理へ 興福寺北円堂から搬出
興福寺(奈良市)の北円堂本尊で国宝の弥勒(みろく)如来坐像が、奈良国立博物館文化財保存修理所内の工房で修理されることになり19日、堂内からの搬出作業が行われた。弥勒如来坐像の修理は昭和58年以来約40年ぶり。 【写真】搬出のため動かされる国宝・弥勒如来坐像の本体 弥勒如来坐像は像高141・9センチの寄せ木造り。平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した仏師、運慶の晩年の作として知られ、弥勒菩薩が56億7千万年後に成仏した姿とされる。 今回の修理では本体の剝落(はくらく)止めなどを実施。光背(こうはい)(背後の飾り)と台座も90年ぶりに修理される。この日は公益財団法人・美術院の修理技術者らが本体と光背、台座に分け、それぞれ丁寧に梱包した上で堂内から運び出してトラックに積み込んだ。修理は来春に完了する予定。 北円堂では春と秋に特別開扉を行っているが、修理に伴い次回の秋の開扉は行わない。興福寺の境内管理室次長で学芸員の多川文彦さんは「無事に修理が終わり、戻ってくるのを願っています」と話していた。