【精神科医YouTuberに聞く!】孤独は悪?一人でいるのが楽だけど…健康面への影響も
リモートでのやり取りだけでは孤独を解消できない?
―― 一人暮らしで人とあまり関わらない生活を続けていると、健康に悪影響が出るのでしょうか。 「一人暮らしで引きこもりがちな生活は、精神的に悪影響を及ぼすことがあります。特にコロナ禍以降は、リモートワークで社会的なつながりを持てず、孤独感からうつ病を発症するケースが増えています。例えば、地方から上京した新入社員が、オフィスに通うことなく自宅で一日中パソコンに向かって仕事をしていると、他人との直接的な交流が全くありません。そうすると、自分だけが社会から取り残されているように感じてしまい、心の健康を害するリスクが高まります」 ――リモート会議など画面越しのやり取りは、対面の交流と同じ効果を持たないのでしょうか? 「リモートでの会話や会議は確かに便利ですが、対面の交流と同じ効果を得ることは難しいです。人間は、他者と直接顔を合わせることで感情や意図を直感的に読み取り、深い理解を得る生き物です。リモートでのやり取りでは、こうした直感的なコミュニケーションが不足しがちです。 対面での交流がどれほど重要か、完全には解明されていませんが、社会的な生き物である人間にとって、他者と直接関わることは非常に重要です。完全リモートワークの方は、少しでも外に出て人と会話し、交流を持つことが心の健康につながります」 ――今、孤独に悩んでいる人はどうしたらいいのでしょうか。 「これは非常に難しい問題で、解決策がまだ見つかっていないのが現状です。現代社会では、“第三の居場所”が失われつつあります。多くの人が仕事と家庭の往復だけの生活を送り、特に独身の方にとっては、会社が唯一の居場所になってしまうケースも少なくありません。 かつては、地元のお祭りや親戚付き合い、町内会といった地域のつながりが、人と人を結ぶ役割を果たしていました。しかし今では、地域の関係が希薄になり、隣に住む人の顔も知らないという状況が当たり前になっていますよね。 さらに、以前は会社の同僚と食事や飲みに行く”飲みニケーション”が一般的でしたが、今ではそのような機会も減り、共通の話題も少なくなりました。昔はみんなが同じテレビ番組を見ていましたが、現在ではそれぞれが興味のあるネット情報を追うようになり、かつて話題の中心だったプロ野球のようなトピックでさえ、共有されることが少なくなっています。その結果、孤独を感じる人が増加しているのです。 解決策の一つとして、趣味を通じたつながりを持つことがおすすめです。例えば、ラーメン好きな仲間と一緒に行列に並ぶ、ボードゲームを楽しむコミュニティーに参加するなど、共通の趣味が人と人を結びつけるきっかけになるでしょう」 ――積極的孤独を生活に取り入れる方法や、楽しみ方について教えてください。 「まずは、電車の中でスマホを見ないところから始めてみてはいかがでしょうか。電車を待つ間にスマホを見ず、ただぼーっとするだけでもいいと思います。昔は時間つぶしにウインドーショッピングをしたり、気ままに街を歩いたりして、一人の時間を楽しんでいましたよね。こうした何気ない行動も、脳のデフォルトモードネットワークを活性化させる大切な時間です。 軽い登山や一人での外食などもおすすめです。一人で食事をする際はスマホをカバンの中にしまい、料理が運ばれてくるまでの待ち時間や、食べ終わった後の会計を待つ時間などに、あえてぼーっとする瞬間を作る。そうすることで、自分自身と向き合う余裕が生まれます。スマホに頼らず、自分のペースで物事に向き合う習慣を少しずつ身につけることで、積極的孤独の楽しさを感じられるようになると思います」