「捻挫」を甘く見るのはNG! 膝や股関節への深刻なリスクを医師が解説
捻挫を放置することのリスク
編集部: 捻挫を放置するとどうなるのですか? 後藤先生: 捻挫の痛みはしばらくすると和らぐことが多いため、医療機関を受診せず、そのまま放置してしまう人も多いと思います。しかし、治療をせずにそのままにすると、足首が不安定で動きの制限が残ったまま日常生活やスポーツをおこなうことになり、痛みが長引いたり再受傷してしまったりするリスクが高まります。 編集部: ほかには、どのようなリスクがありますか? 後藤先生: 繰り返しになりますが、足首を捻挫したときに靭帯が伸び切ってしまった場合、治療をせずに放置すると靭帯が伸びたままになってしまったり、可動域制限が残ったりすることもあります。また、靱帯が伸びた影響で、足首の関節が傾いて固定してしまうこともあります。そうなると、長年悪い歩き方が定着し、おのずと股関節や膝関節などに負担がかかるようになります。 編集部: 足首の捻挫が股関節や膝関節などにも影響を及ぼすのですね。 後藤先生: ただでさえ股関節や膝関節は体重の負荷を受けやすく、加齢とともに痛みなどの症状が出やすい部位です。捻挫を放置したことにより、それらにますます負荷がかかれば、将来的に股関節痛や膝痛が出たり、ひどい場合には「足が痛くて歩けない」といった症状がみられるようになったりします。そのほか、腰に影響が及ぶこともあるので、捻挫と軽く見ることなく、気になることがあれば早めに医師の診察を受けるようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 後藤先生: 捻挫は非常に一般的な疾患ですが、必要に応じて医師の診察を受けましょう。そのまま放置すると関節の動きが悪くなったり、不安定なままになったり、関節が歪んだまま固定されたりしてしまいます。捻挫は繰り返しやすい疾患ですが、きちんと治療をして予防法を医療機関で教わることで、再発を防ぐ可能性を高められます。捻挫をしたらそのまま放置することなく、適切に対処することが必要です。