税金を食う〈売れない斜面国有地〉に新たな息吹を!畑に変え人を呼び込む九州初の挑戦【長崎】
行政としてはできないことを、市民団体の活動として取り組んでいきたいと平山さんが話しておられたのが、印象的でした。 ■所有権移せる土地には「条件」がある 【住】ところで、どんな土地でも国に所有権を移せるわけではないですよね? 【平】建物がある土地については申請ができませんので、空き家があれば取り壊して更地にした上での申請が必要です。また、その後、国が管理をするため、10年分の管理費用を含めた負担金を申請者が納付しなければなりません。 【住】空き家をリノベーションして子育て世代に賃貸する不動産会社もありますし、国に所有権を移す前に、空き家の活用策も検討する必要がありそうですね。 【平】不動産会社の人にも、所有者の抱える課題解決や、新たなニーズへの対応を期待したいところです。そもそも、相続土地国庫帰属制度は、「所有者不明の土地」をなくすことを目的にできた制度です。今年4月からは、所有者不明土地をなくすための「相続登記」も義務化されています。 【住】相続登記が義務化されたことで、相続土地国庫帰属制度の申請数は増えているのでしょうか? 【平】申請件数のうち、どれくらいが相続登記の義務化が関連しているのかはまだわかっていません。 【住】こうした国有地の活用について、「賑やかになった」「楽しい」という感想が聞かれるというのは良いことですね。 【平】こうしてみると管理委託制度は、「国の管理コストの低減」、「貴重な土地の有効活用」、「地元住民のコミュニティ活発化」の「三方良し」のように感じました。 斜面地をうまく活用した地域コミュニティが、今後もますます広がっていくことに期待したいです。
長崎放送