19世紀英国の女性をリアルに描いたジェーン・オーステイン、独身を貫いた生涯と結婚観とは
時代を超えた作家の理由
女性であり作家であったジェーン・オースティンは、その両方であることが困難だった時代に生きていた。母親と姉のカサンドラとともに、父親が死んだ後の、経済的に自立できない苦労を経験した。3人は25年間暮らしたスティーブントンを離れることを余儀なくされ、兄のエドワードがチョートンの家を提供するまで自分たちの家も持たなかった。 それでもオースティンは、当時の社会秩序や価値観を表立って批判するのではなく、鋭い観察眼を使ってその欠点を指摘した。周囲の人々や状況を、好奇心を持って子細に見つめ、温かさと洞察力、そして何よりもユーモアで批判を包み、それとなく社会問題を提起した。 小説の登場人物たちは、彼女の周囲にいた人々の様々な個性と態度を反映していた。しかし、変わることのない人間の性質と世界の在り方に対するオースティンの観察は、彼女が生きた場所や時代という制限を超えて、今も人々に読み継がれている。
文=Miguel Ángel Jordán/訳=荒井ハンナ