1ドル153円超えの米ドル円…12月に入り、急ピッチの円安が進むワケ【国際金融アナリストが解説】
「FOMC」「日銀会合」と、注目イベントが目白押しとなっている今週。昨年、一昨年といずれも年末にかけて円高となっていますが、こうした日米金融政策を受け、12月終盤にかけての米ドル円はどのような展開となるのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
12月17日~12月23日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント> ・先週の米ドル/円は、日米金利差の「米ドル優位・円劣位」の拡大を受けて大きく米ドル高・円安へ戻す展開となった。 ・今週も日米の金融政策をにらみ、日米金利差の拡大がどこまで続くかに注目。ただ米金利上昇にもおのずと限度がありそうで、そういった見方が正しければ、米ドル高・円安も限られそう。 ・今週の米ドル/円の予想レンジは151~155円。
先週の振り返り…金利差拡大で「米ドル高/円」大きく反発
先週の米ドル/円はほぼ一本調子で上昇し、153円を大きく超える展開となりました(図表1参照)。米ドル/円は、12月に入ると一時148円台まで下落し、そこから急ピッチでの反発となったわけですが、その背景にはなにがあったのでしょうか? このような米ドル/円の反発は、基本的には日米の長期金利、10年債利回り差米ドル優位拡大に沿ったものでした(図表2参照)。 日米金利差の米ドル優位・円劣位が大きく拡大したのは、日米の金融政策決定会合を翌週に控えるなかで、米金利が大きく上昇したのに対し、日本の金利は早期利上げ期待の後退で上げ渋りとなったためでしょう(図表3参照)。 後述するように、今週は日米の金融政策決定会合が予定されています。これを受けて、日米金利差の米ドル優位・円劣位がさらに拡大に向かうのか、それとも逆に拡大一巡、縮小に転じることになるのか。最近の状況を踏まえると、この先の米ドル/円の行方は、やはり日米金利差がカギになるでしょう。 為替相場は近年、日銀の金融政策に関する情報に対して過敏に反応する状況が顕著となっています。ただ、最近の米ドル/円の相関関係が高いのは日米長期金利差であり、そんな日米の長期金利は[前掲図表3]のように連動する傾向があるため、金利差を決めるのは水準的に高い米金利というのが基本でしょう。 以上のように考えると、一時的、短期的な反応はともかく、米ドル/円の行方を決める日米金利差は、米金利がさらに上がるか、それとも低下するかが大きな目安になるのではないでしょうか。