なぜ今、この名品がモテるのか? 【PART1】ワークブーツ
我々オヤジ世代が何度か通ってきたワークブーツがいま、久々にリバイバルしています。ラグジュアリーブランドからモード、そしてイタリアオヤジも熱視線を注ぐ、タフでボリューミーなワークブーツ現象を徹底検証です! 大人の名品 2024年冬版
武骨な足元が久々のリバイバル!
ここ数年、タフで男らしい足元の代名詞、ワークブーツを採り入れる洒落者が増えています。これまで日本では1970年代中盤の「ヘビーデューティ」を皮切りに、1980年代の「アメカジ」や1990年代の「ヴィンテージアメカジ」と、ワークブーツが流行となるブームが何度かありました。 それらのブームを通ってきた世代のオヤジさんにとっては、思わず「懐かし~!」と叫びたくなるはず。なぜなら今回の流行は、1990年代前半から始まったヴィンテージ&レプリカアメカジブーム以来、約30年ぶりとなる本当に久々の本格復活だからです。 では、今回のワークブーツのリバイバルには、果たしてどういった背景があるのか。そして、いま我々オヤジはどのようなワークブーツをチョイスし、どう履きこなせばお洒落に見えて、モテるのか。 あらためて、検証してみようではないですか。
さて、まずは現状を検証する前に、ワークブーツの歴史を簡単におさらいしておきましょう。 文字通り肉体労働用の長靴であるワークブーツですが、その発祥を特定するのはなかなか難しい。なぜなら、かつては王侯貴族以外の市民が履く靴は、すべてワークシューズだったともいえるからです。 なかでもよりハードな労働に従事するワーカー用に特化した、丈夫な皮革でスネまでカバーするブーツが、現在のワークブーツの原型となったと思われます。 そんな原型のひとつが、現代レザーシューズの生誕地である、スコットランドやアイルランドに古くから伝わる「ブローガン」という作業用の民族ブーツだと言われています。パーフォレーションやピンキングなどのいわゆるブローギングが施された、現在のカントリーブーツに近いスネ丈のブーツですが、これが開拓時代のアメリカへ渡り、我々が知る今日のワークブーツへと進化していったというわけです。 そうした現在のワークブーツを形作った立役者のひとりが、1905年に米国ミネソタ州で創業したレッド・ウィングです。 創業当初はまだドレスシューズに筒をつけたようなワークブーツを製造していましたが、やがて独自のデザインやパーツを考案し、独創的なプロダクトを開発。そして1950年代、タフなオイルドレザーにボリューミーなユーチップデザイン、ホワイトソールを採用した傑作「アイリッシュセッター」を誕生させ、今日のワークブーツのイメージを決定づけたのです。 レッド・ウィングの他にもホワイツやウエスコ、チペワなど、アメリカにはワークブーツを語る上で欠かせないブランドが数多くありますが、ブーム時に双璧としてレッド・ウィングと度々並び称されるのが、1973年にニューハンプシャー州で創業したティンバーランドです。 現在はアウトドアブランドのイメージが強いですが、その原点は世界初の完全防水を実現した山岳労働者用のレザー製ワークブーツ。当時は製材業者を意識した「ティンバーランド」というモデル名でしたが、大好評を受けて社名となり、正式名を「6インチ プレミアム ウォータープルーフブーツ」、通称「イエローブーツ」と呼ばれるようになりました。 シリコンを染み込ませたヌバック素材にボリューミーなラウンドトゥ、アンクルパッド、インジェクションソールなど、独自のアイコニックな要素満載のイエローブーツは、ワーク&アウトドアの枠を超え、ファッションとして大流行したのです。