なぜ今、この名品がモテるのか? 【PART1】ワークブーツ
ボリューミーなブーツがランウェイをも闊歩
パリやミラノで開催されるここ数シーズンのラグジュアリーブランドのランウェイでも、頻繁に見かけるようになったワークブーツがモチーフのシューズ。が、よく見るとミリタリーやマウンテン系のブーツも混在しており、ようは男らしいタフなレザーブーツが旬となっているのが分かります。
現在の流行においてもレッド・ウィングの「アイリッシュセッター」とティンバーランドの「イエローブーツ」は二大巨頭として洒落者たちに採り入れられていますが、特筆なのは近年ラグジュアリーブランドにおいてもワークブーツを意識したデザインをはじめ、ボリュームのある足元の提案が増えているという点です。 これは我が国に限った話ですが、いままでワークブーツは“アメリカンカジュアル”という文脈に則って流行してきました。 つまり、スタジャンにスウェット、ジーンズ、そして足元にはワークブーツというように、あくまでアメカジの足元として履かれてきたわけです。が、今回の流行もアメカジの一環かというと、どうやらそうでもない。 それはラグジュアリーブランドの動向を見れば明らか。彼らがワークブーツ系のブーツを提案する際、アメカジ系の服と合わせているかというと、そんなことはないからです。 またワーク系と同時に、ミリタリー系や山系などのブーツも提案されていることもポイント。そう、つまりラグジュアリーブランドは、“ボリューム感のある男らしいレザーブーツ” を提案したいのであって、それはワークブーツに限らず、アメカジとも関係ないというわけ。 例えば日本のアイ ジュンヤ ワタナベ マンがティンバーランドとコラボし、真っ黒のイエローブーツをこの秋冬に発表しているのも、アメカジではなくモードとしてもワークブーツが注目されている証左でしょう。 こうした動向を検証すると、今回のワークブーツ流行の理由が見えてきます。 それは長らく続いたスニーカーブームがひと段落し、軽やかスポーティな足元に代わるモノを模索した結果、重厚でタフな靴=ワークブーツ(またはミリタリーブーツやクライミングブーツ)に行き着いたという、ファッショントレンドの文脈から生まれた流行ということです。