なぜ横浜DeNAは阪神に勝てないのか…スコアブックに残らない3つのミス
中野はセカンドゴロに打ち取ったが、佐藤は、「ゴロゴー」よりもう一段階スタートの早い「ギャンブルスタート」を切っていた。タイミング的に本封は無理だったが、田中俊が本塁へ送球するフィルダースチョイス。そして打者走者の中野もまた盗塁を決めている。 1イニングで4盗塁(3つは池谷)を許すのは異常事態だ。 これが2つ目のミス。 三浦監督は「(問題は)クイック。公式戦でもっと改善していかねば」と説明した。 池谷は、左腕を隠すように投げる独特の投法のためか、スライドステップができず走者がいても右足を上げて投げる。時間がかかり、戸柱は送球することさえできなかった。 佐藤に走られた場面では、まずプレートを外し、続けて牽制を投げるなど警戒したが、高代氏は、「次は牽制がないのはみえみえ。しかもクイックができない。誰でも走れる。ただ佐藤は初球で仕掛けた。池谷のクイックができないという情報は、オープン戦などを見てきたスコアラーから事前に入っていた可能性が高い」と見ている。 盗塁阻止は、投手と捕手の共同作業である。投手はクイックが必要で、名将、野村克也氏が阪神監督時代に選手に配った「ノムラの教え」の中には「(クイックの時間が)1.30秒以上だと無条件で走れ」と書かれていた。 高代氏は、「池谷はおそらく1.40秒はかかっていると思う。ボールの出どころを見せない変則左腕。ワンポイントとしては面白いが、1軍で戦力になるにはクイックというプロのスキルが必要になってくる」と提言した。 一方で青柳の攻略もできなかった。7回3安打無失点である。 三浦監督は、「(青柳には)ボールに力があり、シンカーとかをうまく散らされながら攻められた」と振り返った。青柳の好調のバロメーターは、内野ゴロの数。左打者には外のツーシーム。右打者には外のスライダーをウイニングショットに膝から下のボールで勝負するという得意のパターンの餌食になった。三浦監督は、アンダーハンド対策に、左打者を6人並べたが、内野ゴロは11個も数えた。 高代氏は、「無策に見えた。クリーンナップの3人以外は、すべて左打者なのだから外のツーシームをどうすべきかの明確な方針を打ち立てておくべきだったと思う。狙うのか、捨てるのか。狙うならどう狙い、捨てるならどう捨てるかが見えず、選手個々に任せてしまっているようだった」と指摘した。さらに「クリーンナップ以外は、バッターボックスの立つ位置を変える、粘るなどの工夫も必要ではなかったか。頭を使って粘れていたのは宮崎くらいだった」と続けた。 青柳が、昨年7勝9敗と負け越した理由は、丁寧にいこうとするあまりボールが先行して、四球が絡み、ストライクを取りにいくボールを打たれるパターン。立ち上がりと球数が100球前後になると、ボールが浮き、その傾向が目立った。横浜DeNAは、その青柳の死角をつきワンチャンスは作った。7回である。