廃棄される食品から染料を抽出する:FOOD TEXTILE
サステナブルな社会を目指すために、ファッション業界はさまざまな努力を続けている。リサイクルやリユースに加え、アップサイクルという言葉も耳にするようになってきた。さらに、いまでは業界を超えた相互的な取り組みも展開されているのはご存知だろうか。 そのひとつが、豊島株式会社が展開する「FOOD TEXTILE(フードテキスタイル)」だ。このプロジェクトは、廃棄される食品から染料を抽出し、それを使って糸や生地を染色、衣服まで生産するものとなっている。ファッションを総合的に担う商社だからこそ可能な循環構造だろう。 興味深いのは、なぜ食品に注目したのかだ。業界を超えた取り組みの背景には何があったのか。今回、FOOD TEXTILEプロジェクトメンバーの都築里帆さんと営業部長の宮尾英二さんにお話を伺い、本プロジェクトの取り組みを深掘りした。
ファッション業界を見渡して
ー御社のホームページには、「ライフスタイル提案商社」とあります。どのような活動をされていますか。 宮尾: 弊社は1841年に創業をし、初代の豊島半七が綿を売り買いする綿花商として始まりました。いまでは180年を超える歴史のなかで、繊維原料から製品にまで取り扱いを拡大して、ファッション産業の川上、川中、川下のすべてを総合的に担う企業へと発展しています。 現在は、従来の綿花や生地、糸の開発・売買やアパレルブランド様のOEM・ODM事業に加えて、最近では自社ブランドによるD2C、アパレル・食品を扱うECモールの運営など、糸へんを中心に皆様のライフスタイルに関わるものなど、幅広く展開しています。 ー社内では、環境問題に対してどのような意識が共有されていたのですか。 宮尾: 弊社は30年前から木材由来の繊維「テンセル」の使用や、オーガニックコットンの普及プロジェクトである「ORGABITS(オーガビッツ)」にいち早く取り組んできた歴史があります。 これらのサステナブルな素材やプロジェクトを始めたきっかけは、私たちがファッション業界の川上から川下まですべてに携わってきたことで、環境や人に対する負荷の高さを目の当たりにしてきたことがあります。そのため、環境問題や課題に対して解決を目指す取り組みが現場から提案されることも多いのが、弊社の特徴になります。