30歳を迎える有村架純 悩みの時期越えどんな役者に成長していくのか
2月13日で30歳になる有村架純だが、役者として以前にも増して注目度を高めている。NHK朝ドラヒロインから大河ドラマ出演など着実にキャリアを重ねてきた。順風満帆に見える裏側には、地道な努力の積み重ねがある。
朝ドラで知名度を上げたキャリア初期
有村が芸能界入りしたのは2010年。この年の5月に『ハガネの女』(テレビ朝日系)に出演したのがドラマデビューだ。2013年にはNHK朝ドラ『あまちゃん』で小泉今日子演じる主人公の母親・春子の若き頃を演じ、これが大きな注目を集めた。2015年には映画『ストロボ・エッジ』、『ビリギャル』で主演を務め、『ビリギャル』では日本アカデミー賞優秀主演女優賞・新人俳優賞をW受賞、そして2021年映画『花束みたいな恋をした』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いている。 キャリアの表層をなぞればスムーズに歩んできたように見えるものの、その道はけっして平坦ではなかった。3年ほど前、有村を取材した際に過去2度大きな悩みの時期があったと明かしてくれた。 最初は19歳、芸能の仕事を始め3年が経ちさまざまな現場へ赴くようになり、視野もどんどん広がって楽しい時期だったにも関わらず、楽しいという気持ちが勝って芝居の根底の部分を見失い、わからないままずっと仕事をしていたというのだ。「役のキャラクターの大枠はわかっても、芯となる部分は何かっていうと答えられない。役をつくれているようでつくれていないという感覚で、このままでは中身ぺらぺらなものしか生まれない」と、悩んだという。
大河『どうする家康』では瀬名役で注目集める
そこから脱し、20歳のときに出演した『あまちゃん』が一つの転機になったが、2017年に朝ドラヒロインを務めた『ひよっこ』が終わった頃に2度目の悩みの時期が訪れたという。その頃有村は24歳だったが、これからどういう作品をやっていこうか、30歳に向けどんな道筋をつくっていけばいいのか、仕事をしていると自分の実力と向き合う瞬間がいっぱいあって「私は果たしてこの作品で本当に必要なんだろうか、と考えてしまう」とも語っていた。その取材中にも感じたことだが、ていねいにひとつひとつの言葉を選びながら話す有村からは、慎重に物事を考える人柄が伝わってきた。実際、周りのアドバイスを参考に選択肢を広く持って道筋を決めていくタイプの役者なのだろう。 放送中のNHK大河『どうする家康』では、嵐の松本潤が演じる主人公・家康(元康)の妻である瀬名(築山殿)を演じ注目を集めている。いよいよ迎える30代。若手ではなくベテランでもない。中堅といわれる世代に入る頃合いで、役者としての真価が問われる10年になりそうだ。活躍に期待したい。 (写真と文:志和浩司)