「失敗はその後が肝心」。伊藤忠岡藤CEOが語る、信頼回復のためにすべきこと
世界的な原料高騰が続く中、追い風を受ける日本の商社業界。中でも伊藤忠商事は財閥系以外の総合商社として時価総額を大きく伸ばしている。なぜ、伊藤忠は圧倒的な成長を遂げているのか。その答えの一つは、創業以来受け継がれてきた「商人」としての心構えにある。 【全画像をみる】「失敗はその後が肝心」。伊藤忠岡藤CEOが語る、信頼回復のためにすべきこと 本連載では、岡藤正広CEOをはじめ経営陣に受け継がれる「商人の言葉」を紐解きながら、伊藤忠商事がいかにして「商人」としての精神を現代に蘇らせ、新たな価値を生み出しているのかを深掘りしていく。 前回に続き、岡藤CEOが大事にしている言葉を紹介する。
「言葉だけではあかん。いいこと聞いたらすぐ実践」
「僕は大切にするべき言葉はメモしている。『商人は水』『慢心したら落ちるのは一瞬』『難事は自ら行う』『大事は細部を指揮せよ』。 難事は自ら行うとは、要するに難しいことは自分が率先してやらなあかんということ。それから仕事の丸投げはあかんよと。大切なのは細かいことを部下に具体的に指示してやること。そうでないと部下は仕事にとりかかることができない。やり方がわからなければ仕事を完遂できない。 仕事を完遂できないのは部下がいけないのではなく、できるように指示しない上司がダメ。 それと、『一芸に秀でることは大事』。何でもできるよりもまず一芸に秀でること。うちでは人事異動でセクションを変えるけれど、いろんな部署をくるくる変えているわけではない。ある職場で一芸をマスターしてから、他のところへ行く。そうでないと、何も身につかない。 うちのグループ会社の社長人事を決める時も、その人の一芸は何かをまず見る。その次は慢心しているかいないか。言葉だけでなくちゃんと実践しているか。部下への仕事の与え方はどうなのか。 そういった点を日ごろから見ていて、それで社長人事を決める。だって、そうでしょう。大切な人事を『じゃんけんで決めろ』とは言えない。入社年次とかにもこだわらない。人物本位、仕事本位だ。 僕一人で決めているわけではない。それは思い込みで決めてしまったらいちばん困るのは自分だとわかっているからだ。日頃からよく観察して、さらに経営幹部、人事の意見を聞く。それに加えて、元の上司の意見も聞く。自分だけで決めることは決してない」