菅田将暉「この映画が自分にとって“やらなければいけない”作品である理由」
黒沢 清監督とタッグを組んだ主演映画『Cloud クラウド』(9月27日公開)が「第97回米国アカデミー賞」の「国際長編映画賞」日本代表作品に決定。俳優として、アーティストとして乗りに乗っている菅田将暉さんにお話をうかがいました。 PEOPLE NOW
独特の存在感と高い演技力で見る者を魅了する人気俳優であると同時に、自ら作詞・作曲も手掛ける音楽アーティストとしても、稀有な才能を発揮する菅田将暉さん。主演映画『Cloud クラウド』(9月27日公開)で世界的映画監督の黒沢 清さんと初タッグを組み、ネット社会で転売業にハマるうち、気づかない間に人々の恨みを買って窮地に陥る主人公の吉井役を演じました。 『Cloud クラウド』は来年3月に米国で授賞式が開催される「第97回アカデミー賞」の「国際長編映画賞」日本代表作品にも決定。いやが上にも期待が高まる作品の話に加え、30代を迎えて“年齢を感じた瞬間”や、自身が思うカッコいい大人像について伺いました。
作品には、自分が“やらなきゃいけないもの”というのがある
ここ数年の主演映画だけを見ても、『アルキメデスの大戦』(2019)、『糸』(2020)、『花束みたいな恋をした』(2021)で3年連続日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞し、昨年は、2022年のドラマ放送時から話題を集めた『ミステリと言う勿れ』が大ヒット。 ── 今や、多くの映像作家や演出家からのラブコールが絶えない菅田さんですが、2009年のデビュー当時、今のような主演オファーがいくつも重なるようなポジションを想像していましたか? 菅田将暉さん(以下、菅田) う~ん……そうなりたいなという夢は見てました。そういう意味では、想像していました。変な言い方ですけど(笑)。 ── 高校2年生の時に、単身上京されて俳優の道へ。夢を現実にするための努力を重ねると同時に、自己プロデュースの概念も持っていたのでしょうか。 菅田 そんなに自己プロデュースが得意な方でもないとは思うのですが。たぶん、いろんな意識が芽生えたのは、初めての仕事が「仮面ライダーW」だったおかげだと思います。 というのも、「仮面ライダー」は1年という長い時間をかけて撮影するんです。今でこそ、配信ドラマでは撮影期間の長い作品もありますが、大抵は映画で1、2カ月、ドラマでも、大河ドラマや朝ドラでない限り3カ月。そんな中、初めて出演した作品で、1年かけてじっくり役を作れたことは本当に大きくて。 しかも「仮面ライダー」という、自分ももちろん見ていたし、多くの人たちに愛されてきた作品で主役を演じるわけで、“自分もヒーローという仮面を背負える、ふさわしい人間にならないとダメだ”と思わされました。さらに監督からは、「君次第で、この長い仮面ライダーの歴史は終わるかもしれないので、頑張ってください」と言われたんです、当時16歳で(笑)。