OP戦打点王の巨人岡本和真を阪神が右投手揃えても開幕スタメンで使うべきか
プロ野球の12球団のオープン戦が25日に終了、巨人の岡本和真内野手(21)がオープン戦での“打点王”を獲得、阿部慎之助(39)との開幕スタメン争いに実力で決着をつけた。高橋由伸監督は明言こそしていないものの、3月30日の開幕の阪神戦では「6番・一塁」で出場することがほぼ確実となった。ただ阿部を外すと、巨人打線で左打者は岡本と同じく「2番・二塁」の開幕スタメンをゲットしそうな2年目の吉川尚輝(23)一人だけとなり、さっそく阪神は開幕3連戦の先発にメッセンジャー(36)と秋山拓巳(26)の右腕2人をぶつけてくる戦略を固めた。もしかすれば小野泰己(23)も使い、右を3枚並べる可能性もある。それでも左の阿部でなく岡本を起用すべきか。岡本の開幕スタメン抜擢の是非と、その成長理由を探ってみた。
東京ドームでの巨人ー楽天、オープン戦の最終戦。 0-2で迎えた7回、二死満塁でマウンドには、楽天の豪腕、宋家豪(25)がいた。 「6番」の岡本は簡単に追い込まれたが、そこから粘って、誘い球の低めのスライダーにも手を出さない。そして、149キロの高めの甘いストレートをセンターの右へと弾き返した。コンパクトに“1本”を意識した“走者を返す”打撃だった。バットのグリップを余し、状況に応じ対応する成長面を見せた打席。巨人は、岡本の殊勲打で同点に追いつくと、なお続くチャンスに長野久義(33)がフェンス直撃の勝ち越しタイムリーを放ち“オープン戦優勝”へとつなげる逆転イニングを彩った。 岡本は、オープン戦の全17試合にスタメン出場して打率.267、4本塁打、15打点。14打点でトップだった日本ハムのレアードを最後に抜いて“打点王”となった。巨人での日本人打者のオープン戦打点王は2001年の松井秀喜以来となる。神宮での試合が雨天中止となり東京ドームで急遽、練習試合として行った21日のヤクルト戦では、2打席連続本塁打を含む5打点。この非公式記録を合わせれば、バレンティンの6本塁打に並び“2冠王”だった。 一方、阿部のオープン戦成績は、14試合で29打席に立ち、ヒットはわずか3本で打率は.107に終わっている。岡本との数字だけの比較で言えば勝負あり ── である。 それでも、1軍合流1週間で本塁打を放ち、大入り満員となった22日の日ハム戦ではタイムリーを記録するなど存在感は示した。大きな故障のないまま開幕を迎えることも大きい。 昨年のオープン戦も打率.182、1本塁打に終わっていたが、シーズンに入ると開幕6試合で4本塁打を記録するなど一変した。実績のあるベテランのオープン戦成績はほとんど関係ないと言っていい。 大物評論家の一人は、「ベテランこそモチベーションが重要。オープン戦の結果だけで代打と決めつけるのはいかがなものか。特に開幕3連戦で阪神は右を2枚から3枚ぶつけてくるのだから、相手に応じて阿部を一塁、岡本を外野で使うなどの選択もあっていいのでは」という2人の併用説を主張する。 確かに吉川以外、右打者が8人も並ぶ巨人の打線は偏っている。阪神バッテリーからすれば攻略しやすいのかもしれない。 だが、試合後、高橋監督は「成長している姿を見せてくれた」と岡本を評価した。ここまで明言はしていないが、岡本を「6番・一塁」で開幕スタメン起用する腹は固まっていると見られる。岡本にとっては2年連続の開幕スタメンとなる。 巨人OBで代走のスペシャリストとして活躍した鈴木尚広氏は岡本の開幕スタメンを支持する一人だ。 「結果が出て勢いに乗っている、今のタイミングで岡本をスタメンで起用してもらいたい。阿部は代打で出てくるだけで球場の雰囲気を変えることができる選手。経験があるので代打で結果を出せる。一方、岡本に代打で結果を出せというのは難しい。開幕の阪神はメッセンジャーで、2、3戦目も右投手をぶつけてくるのかもしれないが、岡本のオープン戦での結果、そして彼とチームの将来性を考えれば、高橋監督は、ここで思い切った決断をしてもいいのではないだろうか」 岡本はオープン戦でブレイクの兆しを見せた。 鈴木氏が岡本開幕スタメンを推す根拠は、その岡本の変貌にある。