売れない商品をスピード現金化~「全部買い取ります」驚きの仕組み
企業の在庫を一括買い取り!「三方よし」みんな喜ぶ買い取り戦略
開発メーカー「プルガティオ」の経営者・森久康彦さんは大きな悩みを抱えていた。倉庫にうず高く積まれたダンボールは在庫の山。中身はウイルスを減らせるという業務用の加湿器だ。 【動画】業界の風雲児が仕掛ける 客が喜ぶ買い取り戦略を徹底解剖!
森久さんはコロナ禍の東京五輪の室内競技会場向けなどにこの加湿器を開発した。大量の採用を目指したのだが、無観客開催となり、そっくり売れ残ってしまった。 「ご採用をいただけなかったのでそのまま在庫になった。売るのには何年もかかるし、ものは悪くなりますし……」(森久さん) そんなピンチに現れたのが在庫の買い取り業社、ピンチヒッタージャパンだ。加湿器の値段は1台約24万円。ミストの粒子が細かいため、メガネに当てても曇らない。 品質に問題はなく、あとは条件次第だが、7000台の一括の買い取りが成立した。価格は明かせないが、提示された金額に森久さんは「有効に生かしていただくのが前提であれば、ありがたい金額だと思っています」。このお金を元手に新製品の開発を始めると言う。 加湿器7000台は10トントラックで24台分。運送費用もピンチヒッタージャパンが負担する。 ピンチヒッタージャパンは基本的に何でも買い取る。
愛知・春日井市のおもちゃのディスカウントショップ「おもちゃ屋さんの倉庫」。並んでいるのはアウトレット品や「型落ち」の品が多く、そのほとんどを激安価格で販売、中には90%以上の値引き商品もある。 2階、3階には段ボールが山のように積まれていた。多くは売れ残ったおもちゃの在庫だ。処分しようと98%オフの108円にしても売れなかったという。 運営会社の「キャプテン」の岡崎弘展さんは「新しいものを仕入れたいのですが、倉庫の容量が限られているので、滞留在庫をどうするか考えていかないといけない」と言う。 今回岡崎さんはピンチヒッタージャパンに、売れずにしまっていたおもちゃ4種類、2万2000点の買い取りを依頼した。 この先も売れる見込みのない商品だが、岡崎さんの買い取り希望価格は「上代(メーカーの設定価格)の3%」。これに対してピンチヒッタージャパン・若林美瑛は、正確な値付けは後になるものの、「全量一括買い取りで」と答えた。 「他の買い取り業者では『これはいる』『これはいらない』が出てきます。全量買い取りを検討してもらえるところはなかった」(岡崎さん) 岡崎さんは今回が9回目の取引だ。ピンチヒッタージャパンを利用する企業のリピート率は94%に上る。 ピンチヒッタージャパンの拠点は長崎・諫早市。2013年の創業で、2024年春には3階建ての自社オフィスも手に入れた。従業員は81人だ。