タペストリー のカプリHD買収に米国FTCが異議。ラグジュアリー市場の競争と消費者保護を強調
アジアでの損失が深刻化
4月下旬のラグジュアリーブランドの決算報告から判断すると、同業界の状況は好ましいとはいえないようである。多くのブランドが軒並み売上減少に苦しんでおり、特にアジアでの損失が大きい。 ケリングは2024年度上半期の収入が前年同期比で40~45%減少する見込みだと報告した。同社のCEOであるフランソワ・アンリ・ピノー氏は、年初には売上高の減少を予想していたが、それ以降も状況はかなり悪化していると語った。また、特に中国での売上不振が同社に大きな影響を与えていることを挙げた。 一方、グッチ(Gucci)は売上高18%減を報告した。アレッサンドロ・ミケーレ氏の退任に伴い、サバト・デ・サルノ氏が新クリエイティブ・ディレクターに就任してからちょうど半年が経過している。 ゼニア(Zegna)も苦戦を強いられている。4月23日に発表されたように、ゼニアの2024年度第1四半期の売上は5%減少し、収益総額は5億ドル(約789億円)を下回った。ケリングと同様、売上高の減少はある1ブランドに集中している。それはゼニアが新たに買収したトムブラウン(Thom Browne)であり、同社のほかの財務数値を引き下げる要因となった。トムブラウンの売上高は同四半期に35%減少した。またケリング同様、ゼニアの売上減少の大部分は特に中国、そして広範なアジアでの減少によるものだった。 一方、プラダ(Prada)はその流れに抗うことができた。同社は4月24日、純収益16%増、そして小売売上高の18%増を報告した。小売売上高の89%増を達成したミュウミュウ(Miu Miu)が、そのポートフォリオのなかで傑出したブランドとして挙げられた。またプラダはアジアにおいて他社とは大きく異なり、その売上高は18%増を記録した。同四半期の日本での売上は46%増、欧州では18%増であった。 プラダグループのCEOであるアンドレア・ゲッラ氏はプレス声明において、「今年はポジショニング、クリエイティビティ、コミュニケーションの鋭敏性が重要になる。業界に新たな動きが生じているなか、我々は堅実で持続可能な、そして市場を上回る成長を実現するという野心を持ち続けている」と語った。 [原文:Luxury Briefing: Does the FTC have enough to block the Tapestry-Capri deal?] DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
編集部