育児中の男性を悩ます〝大黒柱プレッシャー〟 「ワンオペをほめられたい」子育てと仕事の本音
「イクメン」は自称で使わない
イベントでは、「『イクメン』という言葉の認知度は約9割だが、使用率は1割未満」という、明治安田生命の調査(※)結果をもとに、意見も交わされました。 ※0~6歳の子どもがいる全国の既婚男女1100人を対象に2024年9月に実施 「『イクメン』は自称で使わない」と高橋さんが指摘すると、中山さんも「『今日ワンオペだ』とあえて公開している方もいるけど、普段していなくて特別だから発信するのかもしれない。それはある意味『カッコつけている』のでは」と話しました。 一方、奈良さんは「『ワンオペをほめられたい』というのは自分の意識にもあると思います。まさにワンオペで一日中やったときはほめられたいなぁと思うし、ぽろっと自慢することもあって、カッコつけがちですね」と話します。 参加者らに「『イクメン』と聞いて思いつく単語」を募集したところ、「育児する男性をポジティブにした社会記号の1つ」「イクメン(笑)と接される」「妻側がなんだこれと怒ってる」といった意見が寄せられました。 高橋さんは、「『イクメン』という言葉が男性の子育ては善きことと後押ししてくれたが、男性だけほめられるのはおかしいよね、とモヤモヤワードになってきたと思います」。 中山さんは、「普通に父親をしているだけなので、特別な名前はつけなくてもいいと思う」と話しました。
男性も育児が当たり前の社会で
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2023年度に育児休業を取った民間企業の男性の割合は30.1%で、過去最高になりました。 少しずつ男性の育児が「当たり前」になってきていますが、イベントでは依然として「大黒柱として期待される」「弱さを見せてはいけない」「仕事以外でもほめられたい!」というモヤモヤが紹介されました。 高橋さんは、「もともとあった『大黒柱プレッシャー』がなくならないまま、子育てのプレッシャーも加わって、『新しい男らしさ』へのとらわれが出てきているようにも感じる」と懸念を示しました。 「弱さを見せてはいけない」という点について、奈良さんは「今後ひっくり返るのではないか」と期待を込めます。 「子どもが生まれたあとは、女性だけでなく男性の環境にも変化があり、男性でもうつになると指摘されています。 男性も弱さを開示できることがよしとされる社会的風潮が作られるといいなと思います」と話していました。