育児中の男性を悩ます〝大黒柱プレッシャー〟 「ワンオペをほめられたい」子育てと仕事の本音
「忙しそうに振る舞ってしまう」「ワンオペをほめられたいという日もある」。子育てと仕事の両立に取り組む父親コミュニティが、11月19日の「国際男性デー」を前にトークイベントを開きました。キーワードは「カッコつけがち」。共働きでフリーランスの父親3人が、仕事や育児での「カッコつけがち」な部分を語り合うことで、なかなかはき出せない男性の弱音を引き出せたら、という意図がありました。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】夫への愛情は「増えた」?「減った」? 育休後の妻に聞いた結果 ※国際男性デーは、男性や男の子の健康、男性のロールモデルなどに目を向け、ジェンダーの平等を促す日として、1999年にカリブ海の島国トリニダード・トバゴで始まり、各国に広がったとされる記念日です
語られた父親たちの本音
「仕事では忙しい時期と案件のない谷間の時期がありますが、周囲には常に仕事が忙しそうに振る舞ってしまいがちです」 11月18日、国際男性デーを前に開かれたオンラインイベント。4歳の長男を育てるIT講師の奈良大輔さん(39)=山梨県在住=がそう明かしました。 「男性で働いていないと思われるのが嫌だなとか、働いていないことで相手に疑問に思われるのを避けたいという気持ちがあります」 4歳の長男を育てる会計士の中山航さん(36)=神奈川県在住=も、「なんとなく全速力でやり抜かないといけない、休暇を取ってはいけない、『働いていることが正義だ』ということなのかな」と共感を寄せていました。 イベントを主催したのは、2016年から活動を続けるコミュニティ「一般社団法人Papa to Children」です。父親を中心におよそ50人が参加しています。 イベントで語られた「カッコつけがち」というキーワードは、設立当初からコミュニティ内でよく話題に上がっていたそうです。
「カッコつけ」の背景には
コミュニティの創業理事でコンサルタントの高橋俊晃さん(42)=東京都在住=は、父親が「カッコつけがち」になる背景には「世の中の価値観」が関係していると考えています。 「『男は弱音を吐くな』『強くあれ』『仕事だけしてればいい』という時代の空気を吸ってきた分、そういった価値観が少なからず男性にも女性にも内在化されていると思います」 「それでパワーが出て頑張れる、というようなポジティブな効果もありますが、無意識に自分を縛って苦しめる鎧(よろい)のようになっているケースも多いです」 今回のイベントでは、自身も「仕事では自分で何とかするという気持ちを持ちすぎていて、助けを求められず、限界だという気持ちを閉ざしていた」と振り返りました。 高橋さんは9歳と6歳の息子を育てていますが、「『男は仕事、女は家庭』という価値観を根強く感じる中で、育休を取ったり子育てを頑張ったりするパパたちは、外部からも、内面からも『男らしくないぞ』というプレッシャーを感じがちです。それによって『カッコつけがち』になってしまいます」と話します。 父親の等身大の悩みや思いをさらけ出せる場を作りたいという願いから、コミュニティのホームページにもあえて、「現代のパパたちは『男らしさ』に縛られたり、小さなプライドに囚われたり、ついかっこつけてしまいがちな面があると思います」と書いたそうです。