老後の家をどうする? DV離婚したシングルマザー、トリプルワークで娘を2人育て上げ。扶養家族がいなくなり「税金が増えた!」
◆離婚解決金すら値切ってきた夫の吝嗇家ぶり 夫の吝嗇家ぶりは、離婚解決金の受け渡し時にも明らかになりました。調停で金額が800万円と決まったにもかかわらず、「700万円でいい?」と値切ってきたのです。「ありえない!」。弁護士に相談すると、「裁判所の決定に基づき、給与の差し押さえの手続きをします」という内容のメールが送られてきて、そのまま夫に転送するよう指示されました。その通りにすると、会社にバレるのは得策じゃないと悟ったのか、すぐに夫は満額振り込んできました。「笑っちゃうわよね」と、須磨子さんは呆れます。 その後、須磨子さんはトリプルワークで娘2人を育てました。別居後、体調はよくなりました。よくぞ結婚期間に鬱にならなかったと、いま思います。ただ、いまだDVの傷は癒えていません。 「私はあの人のせいでずっと辛かった!とわめきたい気持ちもまだあるんです。12年もたとうとしてるのに! 意外と吹っ切れてないでしょ、私」 養育費は娘がそれぞれ大学を卒業するまでもらいましたが、小遣いはパパから娘に直接手渡し。そのたびに「受け取り」を書かされるのがイヤで、娘たちはクラブ活動などの費用はパパには頼みたがらず、須磨子さん持ちでした。月1回の面会の取り決めも、だんだん間遠に。夫のほうがパスすることが増えて、最近は数カ月に1度になっています。 今年、ついに夫の家が売れ、転居して行きました。これで近所で偶然顔を合わせることはなくなりました。子どもも独立したことだし、いよいよ彼氏を作ろうとか、再婚しようとか、思います? 「それはない!」と須磨子さんはきっぱり。「男はもうこりごり。もう、パートナーも彼氏もいらない。1人でいい」。よほど結婚生活がこたえたようです。「私、ひとりのほうが良いの」
◆老後の家よりも憂えているのは相続税 老後の家はどうでしょう。追い出される不安がある賃貸に住むより、買おうとは思いませんか?「買わない~。絶対賃貸のほうが得じゃん。だってエアコンが壊れたら大家に言えばいいのよ」と、須磨子さんはあっけらかんと言います。その通り。賃貸で、最初から付帯設備としてついていたエアコンや給湯器は、壊れた場合は大家持ちで修理や交換をしてもらえます。購入したら、自分で負担しなければいけません。年をとっても必ず借りられるなら、賃貸のほうが経済的にはお得です。 では、老後はどこに誰と住みます? 「老後ねえ、どうしようかねえ」。仕事は、実家の工場も、塾の先生も、翻訳家も、いずれも定年がありません。仕事がある限りは「ずっと働く」と言います。これから海外旅行にも行きたいし、英語の資格も取りたい。資格は塾の先生としての箔になるだけでなく、「語学は半分趣味だから」。とはいえ、塾だって、どこかのタイミングで閉じるかもしれません。生徒が集まらなくなるとか、毎年の最新情報に更新し続けるのがつらくなるとか。どんな理由でどうなるかは、いまは想像できませんが。 両親が2人で暮らしていた都内の実家は、父の死後、妹が家族で移り住み、87歳の母と同居しています。姉は独身で、実家のすぐ近くに住んでいます。母も毎日、工場まで出勤するくらい元気ですが、年齢も年齢なので、いずれ介護が必要になるかもしれません。そうなったら、須磨子さんが昼間は実家に行って母の面倒を見るのが一番いいだろうと思っています。姉は会社もあるし、妹には夜を任せるでしょう。3姉妹で交代しながら面倒を見るだろうと言います。 では、母を見送った後に、3姉妹で実家に同居するという選択は?「絶対ない。一緒に住まない。喧嘩になるから」と即答。姉妹仲が悪いわけじゃありませんが、独身の姉、離別の須磨子さん、家族持ちの妹と、すでに生き方がそれぞれ大きく違います。「一緒には住めない。住みたくない」。同居したら、きっともめるからです。でも老人ホームは高いと聞くので、無理だろうと思います。 その前に須磨子さんが憂えているのは、母に万一のことがあった後の相続税です。母の実家は資産家だったため、会社の工場の土地・建物は、母の所有物です。実家も、父が亡くなった時に母が相続しました。つまり、母が亡くなると、工場と実家、両方の不動産の相続税がかかります。3姉妹で用意しておく必要があるのです。 父が亡くなった時には、父の遺産は現金で相続しました。須磨子さんはそれを、投資信託で運用し、一部は個人年金に入れました。いずれ自分の老後を支えてくれるはずです。
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