「総理、万博延期のご判断を」高市早苗氏の“異例の進言”なぜ 自民党総裁選を控え「ポスト岸田」と現職閣僚のはざまで続く苦悩?
かといって世論の支持が厚いわけでもない。最近の共同通信世論調査で、9月の自民党総裁選を前提に次の総裁にふさわしい人を選んでもらうと、石破茂、小泉進次郎ら各氏を追いかける状況が続く。 こうした事情があるためか、この1年余り見ても、とんがった発言がいくつも飛び出した。保守的スタンスをはっきりさせる発信でシンパを募ろうという戦術と思われる。 2022年12月。岸田首相が防衛費を増額するための財源の一部を増税で賄う方針を表明すると、ツイッター(現在のX)に「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」と投稿した。 野党から「閣内不一致だ」と批判されても、記者会見などでは「間違ったことを申し上げたとの考えはない。罷免されるなら仕方がないとの思いで申し上げた」と主張を押し通し、政権内をも驚かせた。 約4カ月後の2023年3月には、安倍内閣当時の総務省内部文書が立憲民主党議員によって暴かれた。2014~15年に放送法の「政治的公平」の解釈を事実上変更したとされる経緯が記されていた。高市氏は総務相として文書に登場する。
2015年2~3月に大臣レクチャー(説明)を受けたと記され、同5月には国会で「一つの番組でも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」と答弁していた。 昨年3月の国会でこの文書が取り上げられ、事実関係を問われた高市氏は「捏造(ねつぞう)だ」と突っぱねた。 立民議員から重ねて追及されると「私の答弁が信用できないなら、もう質問しないでほしい」と言い放ち、審議を紛糾させる場面も。この際は、当時の末松信介予算委員長(自民)から「発言は誠に遺憾だ。質問に真摯(しんし)に答えていただきたい」とたしなめられる結果になった。 ▽「これは高市派だ」、勉強会発足に意気込む議員と冷ややかな視線 高市氏は行動も開始する。昨年11月、自身が主導する形で「『日本のチカラ』研究会」を発足させた。11月15日の第1回を皮切りに、これまでに4回開催。インテリジェンス機関などをテーマに意見交換を図っている。