「総理、万博延期のご判断を」高市早苗氏の“異例の進言”なぜ 自民党総裁選を控え「ポスト岸田」と現職閣僚のはざまで続く苦悩?
党内の各派閥が警戒したため初回こそ参加者は10人程度と低調だったが、今年2月の3回目は自身を含め19人、3月の4回目は17人が集まった。安倍派議員が多いが麻生、茂木両派や無派閥の議員も並んだ。 総裁選に出馬するには推薦人20人が必要だ。勉強会は出馬を見据えた足場づくりとの見方が党内に広がった。 実際、出席者の一人は「これは高市派だ。勉強会を総裁選活動につなげたい」と意気込む。その一方で「高市氏を総裁に推す枠組みではなく、単なる勉強会」との声も漏れ聞こえ、熱量には差があるようだ。 自民内には冷ややかな視線が多い。一つには勉強会発足のタイミングが悪かった。昨年11月は、報道各社世論調査の岸田内閣支持率が20%台に落ち込み始めた時期と重なったのだ。落ち目の首相の足を引っ張るように映り「いかがなものか」(当時の世耕弘成参院幹事長)と反発を招いた。 高市氏は、あくまで純粋な勉強会だとの立場を主張。旧ツイッターのXを通じて「現職閣僚が担務外の政策を同僚議員と勉強することの何が悪いのか、意味が分からん」と反論し、応酬を繰り広げた。
その後、派閥の政治資金パーティー裏金事件の捜査や報道が本格化し、岸田首相や自民党に対する風当たりはさらに強まった。今年に入っても裏金事件の逆風はやまず、震災対応も政権の重要課題となる。総裁選を見据えたモードにはなかなか転換しそうにない。 「『身を屈して、分を守り、天の時を待つ』という心境だ」 高市氏は今年1月8日放送のニッポン放送ラジオ番組で、三国志の武将劉備の言葉を引用して、自身の心境を口にした。将来への野心をにじませつつも、今は雌伏の時を過ごす、というメッセージだった。 ▽保守層の受け皿になれる? 高市氏が発信力で照準を定めるのは党内保守系議員たちだ。 「国家観を共にする皆さんに絶好のタイミングでお話しできることをうれしく思う」 2月8日、高市氏は顧問を務める党内グループ「保守団結の会」で、にこやかに語りかけた。会合では閣僚として担当する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度創設について講演。この制度は、安倍政権下で成立した特定秘密保護法の「産業技術版」とも言われ、高市氏が力を入れる政策だ。保守系議員に、安倍氏の遺志を継承する姿勢をアピールした形となった。