【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第13回「すべてを受け入れ、前へ!」
「言い訳はしたくない。すべては僕のせい。実力不足のひと言に尽きる」。PK献上という痛恨のミス、アジア杯ベスト8での幕引きをどうとらえ、乗り越えたのか。今また前進しつつある板倉が独占激白!! 【写真】板倉滉が独占告白!!「悔恨のアジア杯」 ■PK献上、敗退。イラン戦を振り返る AFCアジアカップ カタール2023(以下、アジア杯)について、まずは応援してくださったサポーターの皆さんには心から感謝したい。そして、期待に応えられず、本当に申し訳ない。 準々決勝イラン戦(2月3日)の後半アディショナルタイム、最後の最後で僕は相手にPKを献上してしまった。FWモヘビがヘッドで山なりのボールを中に入れてきたところ、僕とトミ(冨安健洋)がかぶってしまい、うまく処理し切れず、そこにDFカナニがすかさず詰めてきた。無我夢中で足を出した僕。 「しまった、これは絶対にPKだ......」 瞬時に自覚した。間髪入れず、レフェリーの笛が鳴る。しばらくの間、僕は身動きが取れず、そのまま芝の上に突っ伏した。言い逃れなんてまったくできない、明らかなファウルだった。チームはベスト8止まりで大会を去ることとなった。 試合が終わっても、茫然自失のままだった。自分のせいで負けた。サッカー人生でこれほどまでの大きな挫折は記憶にない。悔やんでも悔やみ切れなかった。 そのままスタジアムでドーピング検査を受けることになり、僕は残った。ほかの選手たちは足早にホテルへと戻っていった。誰もいないロッカールーム。孤独というか、言葉にできないほどのむなしさにも襲われた。 ひとり遅れてホテルへ戻った後は部屋にこもったままだった。ああ、これはもうダメだ......。ぼんやりとそう思っていたところに、ドアをノックする音が聞こえた。開けてみると、(堂安)律に(菅原)由勢、(中山)雄太、そして(南野)拓実君。続々と姿を現した。 最後のほうには、トミも顔を出してくれた。皆、僕の部屋にしょっちゅう来るレギュラーメンバーなのだが、いつもと変わらない感じで軽食と飲み物を手にして話しかけてくれた。みんなの気持ちが痛いほど伝わってきた。ありがたかった。 「日本代表として戦う上で、このままじゃダメだよな」 誰かが、そんな言葉を口にした。自分たちが変えていかなければ......。落ち込んでいる暇はない。自分の中でスイッチが入った気がした。