【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第13回「すべてを受け入れ、前へ!」
■アジア杯終了後、自問自答の日々 今回のアジア杯で感じたのは、どの国も日本を徹底研究してきたということだ。大会前、この連載でも述べたが、やはり簡単な試合なんてひとつもなかった。 何よりも日本には絶対に勝つ、どんな手段を使ってでも一勝をもぎ取ってやるんだという熱量や気迫が、対戦した各国からはひしひしと伝わってきた。 ベトナム戦(1月14日、4-2で勝利)であれば、FWグエン・ディン・バク選手は19歳ながら、非常に勢いがあった。力強いプレーもさることながら、ポジショニングがいつも絶妙だった。 僕ら守備陣からすると、嫌な位置に立っていて、自分のところにいい状態でボールが入ってこようものなら、すかさずゴールにつなげようという気概と技術を持ち合わせていた。彼も含めて、総合的にベトナムは常に位置取りが巧みだった。 イラク戦(1月19日)については、1-2で惨敗を喫した。前日、僕は要注意としていた選手にFWフセインを挙げていたが、いざ試合が始まると、予想どおり彼の強さと持ち味を生かしたチームだというのがわかった。 彼に1対1でやられるという不安は抱いていなかったが、イラクはチームとしてやるべきことが明確だった。とにかく、僕ら日本の強みを消しに来ていた。 例えば、サイド攻撃をしようにも、イラクのサイドディフェンスがタイトだったこともあり、なかなか機能しなかった。5バックを効果的に使い、あとはひたすらフセインめがけて長いボールを送り込む。イラクにブレはなかった。 インドネシア戦(1月24日、3-1で勝利)は、森保監督と話をして、心身共にいったんリセットしたほうがいいという結論に至り、メンバー外でスタンド観戦。 その後、決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦(1月31日、3-1で勝利)で復帰した。最重要ミッションだった194㎝の長身FWユスフを封じ込めることには成功して勝利したものの、クリーンシートは達成できなかった。 そして、イラン戦に至っては弁解の余地はない。 アジア杯が終わった後、自問自答を繰り返した。自分は勝ちたい気持ちがどれだけあるのか、と。同時に、大きな舞台で結果を出せなかったことがめちゃくちゃ悔しかったし、自分自身に腹も立った。 これまで重要な大会やリーグ戦の大一番などで、たとえ調子がいまひとつだったとしても、なんとかコントロールして切り抜けてきた。 けれど、今大会では自分の弱さが露呈した。昔の自分であれば、「いや、本当の俺はこんなもんじゃない」と強がっていただろう。 「このままじゃダメだよな」 ふと、イラン戦後に誰かが言ったその言葉を思い出した。実力不足を素直に受け止め、自分と向き合うことができた。