【侍ジャパン】井端弘和監督「ピンチと思ってない」新庄チルドレン積極起用で世界一狙う/インタビュー
世界一へ、再び侍ジャパンの挑戦が始まる。13日に開幕し、大会2連覇がかかる「ラグザス presents 第3回プレミア12」に向け、井端弘和監督(49)がインタビューに応じた。監督として初の世界大会は最大9試合を12日間に及び、1次ラウンドを名古屋、台北、スーパーラウンドを東京で戦う短期決戦。その前哨戦として「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2024 日本VSチェコ」(9、10日=バンテリンドーム)で強化を図る。けがによる辞退者続出にも対応し、選び抜いた28人の侍とともに挑む。【取材・構成=栗田成芳】 ◇ ◇ ◇ 高さ3・6メートルに及ぶ「SHINJO STAGE」は、次第に熱を帯びていった。井端監督はシーズン大詰めの9月下旬、エスコンフィールドを視察。バックネット前にある“VIPステージ”へ、日本ハム新庄監督が招待してくれた。2人肩を並べ座りながら約30分間にわたり話し込んだ。現役時代の接点はそれほどない。それでも2位争いを繰り広げる真っただ中に時間を割いて、話し込んだ野球談議。自然と白熱した。 井端監督 いろんな選手を新庄さんはプッシュしてくれていた。選手の特徴だったり、すべて教えてくれたのはうれしかったですし、助かりました。たくさん野球の話をさせてもらいました。そこまでしゃべっていただけるんだっていうくらい。自分の中でとどめていますけど、非常に勉強させてもらっています。 話題は各選手のストロングポイントや起用法まで。その時点で清宮は候補の1人である一方、10月9日のメンバー発表では選ばれなかった。同下旬に巨人岡本和の腰痛による出場辞退を受け急浮上。7月以降だけで15本塁打をマークし打率3割でフィニッシュした絶好調ぶりに加え、新庄監督からの“推薦状”が後押しした。 井端監督 清宮選手についても「状態はいい」って言っていた。後半戦のあの成績をずっと続けられるようになれば、当然侍のメンバーに入ってくる選手。追加招集ですけど、彼にとってすごく良いことだと思います。 ポスト周東として期待を寄せる五十幡も新庄チルドレンの1人。周東は前回大会19年プレミア12から21年東京五輪、23年WBCまで代走の切り札として走り回った。井端監督は宮崎キャンプに集合するとすぐに、かつてサニブラウンに勝った新・韋駄天(いだてん)候補へ声をかけた。 井端監督 彼には言いました。会ってすぐに。「(代走で)出たら全部(盗塁を仕掛けに)いってくれ。そのために呼んだし、そのために出る。走れないで終わりましたではなく、出たら行ってくれ」と。やみくもではないけどね。そういうことは伝えました。 実際に5日に行われた広島との練習試合では、変則ルールを最大限利用して、3度代走で送り出し1盗塁を決めた。打線には大砲こそ不在だが、中距離打者がズラリと並ぶ。26年WBC、28年ロサンゼルス五輪を見据えた上で、切り札へと成長させるために積極起用していく。 けがによるメンバー4選手の辞退に加え、発表前に負傷したヤクルト村上、ソフトバンク近藤も招集がかなわなかった。そんな状況にも悲壮感は一切ない。 井端監督 ピンチと思ってないですから。別に。その中でもやらないといけないし、その中で選んできてくれる選手がいるから、なんとか良さを引き出してあげないと。勝ったチームが強いわけで、最初から選手の名前だけで勝てるということでもない。終わってみて勝っていれば、このチームで良かったと思えるわけだから。 ○…チェコ戦の前日会見に臨んだ井端監督は「自分が想像したよりはるかにいい調整ができている。ここから1つ2つ上がっていければ。本大会まで2試合。有意義に過ごしていきたい」と充実感を口にした。宮崎キャンプを経て、日本シリーズ組4選手が合流。全28人で臨む強化試合に「この2試合で野手、投手両方が状態を上げることが第一優先。チームの状態を見極めて本大会に進んでいきたい」と意気込んだ。