経理・決算業務を自動化 「米主要500社の半数」が採用したSaaSとは?
経理・決算業務を支援するSaaS「BlackLine」(ブラックライン)の開発や販売を手掛ける米BlackLine(ブラックライン)。2018年に日本法人を設立し、翌2019年に日本でもサービスの提供を始めた。製造業から食品、物流など、業種を問わず顧客を広げている。 【写真を見る】ブラックライン創業者の経歴 ブラックラインは8月29日に東京で自社イベント「CFO組織が拓(ひら)く未来」を開催。創業者でCoーCEO(共同最高経営責任者)のテリース・タッカー氏が来日した。同氏は「今後はAI活用によって、経理や財務の業務をさらに強力に支援していく」と語った。 女性経営者のタッカー氏は、ブラックラインの創業者であると同時にエンジニアでもある。自らソフトウェア・プログラマーとして最初の製品を設計。2007年に早くも製品のクラウド化を進め、米国で大きなシェアを握った。タッカー氏にインタビューし、AIが経理業務の生産性に与える影響や、女性経営者が増えるための条件などについて聞いた。
米主要500社の半数が採用 「1分の削減でも1000回の作業では大きな節減」
「われわれのミッションは、デジタルファイナンスの変革を鼓舞し、そして力を与えて導いていくものです。変革はなくてはならないものになっていて、新たな技術を使うことで皆さんもより多くのことが可能になります」 「CFO組織が拓く未来」でタッカー氏は、ブラックラインが提供するプロダクトの今後について「AIを埋め込んでいくことで、経理業務の生産性を高めていく」と説明した。 「(AIによって)協力会社からの請求が来れば、金額や、支払い期日などの文書は自動的に生成されます。ユーザーにとっては1分から2分ほどの時間の節減にしかならないかもしれません。しかし、ひと月に1000回その作業をすると考えれば、大きな意味のある時間の節減につながります。その時間を、より戦略的な作業に充てることができるか。そして、よりやりがいのある仕事をできるかが大事です」 ブラックラインの日本法人は2019年から、決算業務全体をクラウド上で支援するブラックラインなどのサービスを提供。国内では業種を問わず導入企業を広げつつある。 米国では主要企業500社のうち、半数以上がブラックラインのサービスを導入しているという。多くの自動化エンジンをソフトウェアに組み込むことによって、経理財務担当者の業務負担を軽減する。米国でブラックラインが支持された理由を、タッカー氏は次のように振り返った。 「米国では財務会計の規制がいち早く導入され、財務情報が完全であることが担保されているかどうかが企業に問われるようになりました。その結果、経営財務担当者に多くの負担が発生したのです。その際にブラックラインは、財務記録が正確かどうかを確認する勘定照合において、プロセスの80%を自動化しました。大企業ほどデータが多く、そのデータを全て統合して自動化エンジンにかけることによって、より多くの効果を生むことができます。これが大企業に支持された理由です」