住民税非課税世帯に給付金 半導体分野に10兆円 総合経済対策原案
政府が12日に自民、公明両党に示した総合経済対策の原案は、物価高対策として住民税非課税世帯を対象に給付金支給のほか、人工知能(AI)・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を盛り込んだ。 原案は、自公がそれぞれ開いた会議で政府が説明した。月内の正式決定に向け協議を続ける。 給付金は、住民税非課税世帯のうち子育て世帯には、子どもの人数に応じて加算する。給付金の水準は政府と与党の間で調整が続いている。 先の衆院選期間中、公明の石井啓一代表(当時)は「1世帯10万円が目安になる」との考えを示していた。公明の岡本三成政調会長は12日、「本当に苦労されている方に給付する金額だから、ちゃんと支援できる形にする」と述べた。 年末までの継続が決まっていたガソリン補助金は、年明け以降も延長する方針を盛り込んだ。原案は補助の縮小に向けて段階的に制度を見直すとしたものの、見直しに着手する時期は今後調整する。 補助金は2022年1月に始まり、予算総額は7・1兆円を超える。自民の松本洋平政務調査会事務局長は12日、「いつまでも補助を続けるのは良くないという意見が出る一方、しっかりと支えてほしいという意見があった」として、党内でも賛否両論あることを明らかにした。 一方、10月末で終了した電気・ガスの負担軽減策は再開する案もあるが、原案には盛り込まれず、協議が続くとみられる。 AI・半導体分野では、先端半導体の量産化を目指すラピダスなどを念頭に、複数年度にわたり補助金や委託、金融支援などを通じ10兆円以上の公的支援をする「AI・半導体産業基盤強化フレーム」を策定する。 政府は、これをテコに「今後10年間で50兆円を超える官民投資を誘発し、半導体生産などに伴う約160兆円の経済波及効果を実現する」と説明する。25年の通常国会で関連法案を提出する方針だ。 防災対策では、災害時に避難所となる学校体育館へ空調設備を設置するペースの倍増を目指す。キッチンカーやトレーラーハウス、トイレカーなどの登録制度を創設し、避難所環境の改善にも取り組む。【髙橋祐貴、杉山雄飛】 ◇政府の総合経済対策原案のポイント ・物価高の影響を受ける住民税非課税世帯を対象に給付金を支給。このうち子育て世帯には子どもの人数に応じて加算する ・人工知能(AI)や半導体産業に対し、複数年度にわたり補助金や金融支援などで10兆円以上の公的支援を実施 ・ガソリン代抑制の補助金を継続する。補助率は段階的に縮小 ・自治体に交付金を配り、小中学校の給食費支援などの実施を推奨 ・避難所となる学校体育館に空調設備を設置するペースの倍増を目指す