〈このままでよいのか?日本のズワイガニ漁〉世界ではやらないメスの漁獲、輸入に頼り続けることに
冬の味覚、日本海のズワイガニ漁(富山県より西)が、2024年も11月6日に解禁されました。毎年初競りが話題になり、雄のズワイガニが高値で落札されています。資源管理が功を奏し、日本海西部の漁獲枠は前年比で1割増えて、8年ぶりの高水準になっているとも言われています。 【図表】減少する日本のズワイガニ漁獲量 確かに、TAC(漁獲可能量)の設定や、各都道府県による水揚げの規制などが行われているようです。ただし、本当に回復しているといえるのでしょうか? 他国のズワイガニ漁と比較するとどうなのか、日本のメディアでは国内のズワイガニ漁のみにフォーカスを当てているのでよくわからないと思います。 一般人が食べるズワイガニの大半は、国産ではなくロシア、北米、ノルウェーなどの国々です。報道がないので一般には知られていませんが、海外と比較して現実を直視すると驚くことでしょう。その一例として、大きくズワイガニの資源量を増加させているノルウェーと比較してみましょう。
漁獲量推移で比較すれば一目瞭然
下のグラフは、漁獲量が多い富山県から西側(日本海系群A海域)でのズワイガニの漁獲量推移を表したグラフです。1960年代から70年代前半にかけて1万トン以上の水揚げがありました。しかしながら、現在ではその約4分の1以下と大きく減少しています。少し増えたといっても絶対量はそれほど多くはないのです。 次に日本全体とノルウェーのズワイガニの漁獲量推移を比較したのが下のグラフです。青が日本でオレンジがノルウェーです。 ここで特記しておくことがあります。それはもともとノルウェー海域にはズワイガニがいなかったのに、今では日本の何倍も獲れているということです。ノルウェーの沖合では、1996年に初めてカニの資源が確認されました。 その後ノルウェーは、15年も以上待って、2012年からようやく獲り始めました。資源の持続性を考えて漁獲しているので、年を追うごとに資源量はどんどん増加して行きました。漁獲量は24年には1万トンを超え、25年にはさらに増えて1万2000トンの漁獲量が見込まれています。 かつてゼロだったノルウェーは1万トンを超えているのに、昔からズワイガニを獲っていた日本はその4分の1以下の漁獲しかない。これが、資源管理が進むノルウェーとの差なのです。 我が国は北海道でせっかく沸いた小さな貴重な大ズワイガニ資源を漁獲しています。カニに限らず貴重な資源が増えたら増えたで数年で獲り切ってしまい、獲れなくなって後悔しても後の祭りです。