「今からお父さんとお母さんは避難します!」本誌記者の実家がターゲットに…《実録》闇バイト「強盗団」の手口と恐怖
首都圏で相次ぐ強盗事件。テレビの中のことと思いきや、危険は身近に迫っている。事情通曰く「カネに詰まっているグループが手当たり次第に叩いている」。凶悪化する犯罪組織の手口を追った。 【マンガ】追いつめられた女性が「メンズエステ」の世界で味わった「壮絶体験」
電話で自動音声が流れて
10月15日午後3時頃、編集部で原稿を書いていると、携帯に母から着信が入った。平日のこの時間に電話が来るなんて珍しい。急用かもしれないと思い、出ることにした。すると、母が切羽詰まった様子でまくし立ててきた。 「今からお父さんとお母さんは避難します。緊急連絡先として、あなたの住所と電話番号を警察の方に教えていいかしら」 なにがなんだかわからない。すると、「お父さんに代わります」と言って、父の声が聞こえてきた。 「すまんな、俺が詐欺に引っかかったんだ。まだカネを取られたわけじゃないんだけど。変な電話がかかってきて、タンス預金があるって言っちゃったんだよ。途中で怪しいと気づいて交番に相談したら、すぐに避難したほうがいいって。それで大塚の東横INNにしばらくいることにしたから」 これは巷で流行っている「闇バイト」強盗というやつではあるまいか。まさか自分の実家が狙われるなんて……。 一瞬、75歳の母が、私の名前を泣き叫びながら、バールでぶん殴られている光景が頭をよぎった。 「そりゃ大変だ……。警察の言う通りにしたほうがいいよ」 こうして両親の「逃亡生活」が始まった。が、わずか3日で終わってしまったらしい。週末に改めて電話すると、すでに実家に戻っていた。 「狭い部屋ですることもないと、逆にいろいろ考えちゃうでしょう」 電話口で母が言う。 私は詳しい話を聞くべく、翌日、久々に東京郊外の実家へ向かった。着くと、家の様子は前回来たときとは一変していた。 リビングの窓は、昼間だというのに、シャッターを閉めっぱなしだ。 玄関ドアの横には、物々しい黄色と黒のステッカーが貼ってあり、「警視庁 防犯カメラ設置重点警戒中」と書いてある。さらにドアには、青と黄色の「ALSOK」のステッカーが貼られている。その横には厳つい人感センサーが取り付けられていた。