「僕は猜疑心が強かった」ーー除隊から1年、チャン・グンソク、抱えていた双極性障害、再スタートを語る
イケメン韓流スターとして“グンちゃん”の愛称で親しまれ、本国のみならず、日本でも大きな支持を獲得したチャン・グンソク。5歳から子役として活躍し、2018年には双極性障害(躁うつ病)を抱えていることを告白した。人気絶頂のタイミングで“社会服務要員”として芸能界から離れ、2020年に活動を再開。「芸能界にいたときは猜疑心が強かった。ですが、芸能界を離れて一人の人間として扱われることで徐々に自分の心が変わっていった」と語る。除隊から1年、これまでの軌跡とこれからの思いを聞いた。(取材・文:桑畑優香/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
夢だった東京ドーム公演、そして双極性障害の発症
「朝早いかって? いや、大丈夫です。30分前に起きましたから」 午前10時。チャン・グンソクは、ちょっぴり眠そうに目をこすりながら、日本語でジョークを飛ばした。黒のキャップとフーディーにすっぴんの素顔、そして変わらぬ低い声。ソウルと東京を結ぶリモートインタビューの画面に映る姿は、驚くほど自然体だった。 “社会服務要員”として兵役終え、2020年に再始動したチャン・グンソク。5歳から子役として活動していたが、スポットライトを浴びたのは、10年前だ。ブレークのきっかけとなったのはドラマ「美男<イケメン>ですね」(2009)。同作の主人公と重なるオレ様キャラで人気を博し、自ら「アジアのプリンス」と称した。巧みな日本語を武器に「笑っていいとも!」「徹子の部屋」など日本のバラエティー番組にも登場、さらに、歌手として日本デビューするや、オリコン・シングルランキングで初登場1位となり、その後もドラマやライブツアーで、万能エンターテイナーぶりを発揮していた。 だが、人気絶頂の陰で、精神的な病を抱えていた。双極性障害(躁うつ病)を発症したのは「中学生のころからの夢だった」という2011年の東京ドームの単独公演を成功させた直後のことだった。 「東京ドームでの公演が終わって、ライブの次の日に朝起きて、なんか寂しい気持ちになったんです。『これ、何?』って。僕の今の感情は何だろうと。とりあえずホテルから出て、スタッフと外にでかけました。刺激を感じたかったので。人生の夢を現実にしてしまって、いまからどうしようか、どんな未来があるか。そんなことを考えていました」