仕事に飽きてしまったときの対処法は?|キリン公式note責任者が語る「続けるための秘訣」
┌────────── ファンビジネスに転換できる可能性があると思って、稚拙ながらWebやアプリの構想を練り、社長にプレゼンの機会をもらいました。その結果、新規事業を任されることになったんです(平山氏) └──────────
平山氏は、既存のマス広告やインターネット広告に依存しない、コアなユーザーが集まるコミュニティを作り上げ、その取り組みは今でも続いている。 実は、当時から現職のキリンの取り組みに触れる機会が何度かあった。もっとも印象に残っているのは、キリンがCSV経営の一環で当時行っていた「地域創成トレーニングセンタープロジェクト」という取り組みだ。地域を活性化させた経験をもつ凄腕のプロデューサーたちが集まり、次に注目される可能性のある地域のプレイヤーたちと共に、二泊三日のワークショップを行う。旅に強みをもつ「ことりっぷ」も何か連携ができないかという相談が寄せられ、平山氏はワークショップに参加した。 ┌────────── 私がずっとやりたいと思っていた取り組みでした。旅メディアとして、すでに知られている観光地だけでなく、次の場所をつくっていきたかったんです。だからこそ、キリンの取り組みがすごいと思いました(平山氏) └──────────
この出来事が転職の直接のきっかけではなかったが、平山氏がその後キャリアチェンジを考えたときに、キリンのことを覚えていて応募した。選考に通過した平山氏は、キリンの一員となった。
予算ゼロで始めた公式note
■ [マイルール2] 席を奪うよりも、つくる キリンの公式noteのフォロワー数は1万7,000人以上に上る。平山氏が入社した当初、noteは存在せず、立ち上げを提案したのが平山氏だった。そのきっかけとなったのは、入社直後に自社ECサイト『DORINX』のディレクションを担当していたときの経験だ。 ┌────────── 当時はビールと食事のペアリングを紹介する記事が多かったのですが、それよりも私が興味を持ったのは、キリンの作り手たちが何を考えているかでした。そこで社内の作り手にインタビューしてみたら、実直で真面目に取り組まれている研究者気質の方が多く、とてもおもしろかったんです。実際にインタビュー記事を公開すると反響もありました。 当時は社員の想いを伝えている企業はまだまだ少なかったし、キリンで働く3万人の想いが資産になるかもしれない。定期的に発信できる場所をつくれば、会社のカルチャーに新しい軸ができるのではないかと考えました(平山氏) └────────── 会社の内面を発信する場所を想定したときに、平山氏が注目したのが「note」だ。Webサイトを新たに立ち上げようとすると相応の予算がかかるが、noteなら初期費用がかからない。そう考えた平山氏はさっそく提案をまとめて稟議を通し、キリンの公式noteを立ち上げることが決定。予算ゼロで始めたため、当初は平山氏自身が記事のライティングも担当していたという。 ┌────────── 企業公式noteはまだ少なかったので、記事をリリースするとTwitter(現X)のトレンドに入ることもありました。社内にはあまり告知をしていなかったのですが、一部のプロダクトのブランドマネジャーが見つけてくれて、『うちのブランドを出してほしい』と連絡をくれました。現在では、noteに掲載している記事の9割が社内からのオファーです。寄せられたオファーを基に、どんな企画なら読者に読んでもらえるか一緒に企画を立てています(平山氏) └────────── 平山氏はキリンに入社後、公式noteの立ち上げ責任者という役割を自らつくり出した。前職でも、自身の提案で新たな事業や役割を得るなど、自ら仕事をつくり出してきている。