越前市三大グルメ「越前おろしそば」「中華そば」「ボルガライス」を知る
■越前おろしそば ■辛み大根おろしで味わう越前名物ぶっかけそば (※その他の写真は【関連画像】を参照) 【関連画像】越前市三大グルメ「越前おろしそば」「中華そば」「ボルガライス」を知る 大根おろしの風味福井には「越前市三大グルメ」と呼ばれる名物料理がある。その筆頭が、「越前おろしそば」である。 越前おろしそばは茹でて水にさらした冷たいそばに、辛み大根おろしを載せ、そばつゆをかけるぶっかけそば。福井県民は冬でも冷たいおろしそばを食すのが古くからの食習慣となっており、これが最も美味しい食べ方だとしている。 福井県は全国でも有数のそば処だが、他県と異なり「在来種」という古くから福井で栽培された小粒の玄そばを使っている。この在来種には丸岡在来、大野在来などの品種がある。 「丸岡在来が一番美味しいと思っているから、丸岡在来をずっと使っている」と話すのは、「そば蔵 谷川」の店主・谷川正美さんだ。 在来種は改良した品種に比べて味が濃厚。なかでも、丸岡在来はそばのうま味が凝縮して、そば好きの間でも人気が高い。 谷川さんは元々そば打ちが趣味で、平成9年(1997)に脱サラして、自宅で店を開業した。当店はそば屋が多い福井県でもとくに人気が高い。店の外に行列客のための椅子やベンチが並んでいるのを見れば、その人気がわかるだろう。 谷川さんの打つそばは、丸岡在来の十割そば。真空パックで低温貯蔵している玄そばを、毎日石臼で手挽きにして、粗挽きのそば粉で打っている。おろしに使う辛み大根は3種をブレンドする。 「そばは素材。鮮度のいいそばを挽いて打つ。粗挽きの“極粗”そばが、口の中でほどけてうま味を感じる。それが粗挽きの良さだね」 おろしそばをすすれば香り高くそばのうま味が口中に広がる。大根おろしとのマッチングが絶妙だ。 「お客さまに美味しいと言っていただけるのは気持ちいい。職人冥利に尽きますよ。80歳までは店を続けたいと思っています」と谷川さん。 現在75歳。多くのリピーターに支えられて店を続けている。 POINT「福井県産のそば粉」福井県は在来種王国。丸岡在来、大野在来、今庄在来など。その土地の気候と土壌で育まれた、小粒のそばの実にはうま味が凝縮している。早刈りでも知られ、きれいな緑色で香りが高く、爽やかな味わいだ。 ■そば蔵 谷川 こだわりの県産そばを自家製粉店は明治時代の土蔵を改装した。器は越前焼を使用。福井県で初めて自家製粉の十割そばを出した店として知られる。注文が来てから、大根をおろし、鰹節を削るというこだわり。 福井県越前市深草2-9-28 TEL:0778-23-5001 営業時間:11:30~14:00(なくなり次第終了) 定休日:月・火曜、第1・3・5日曜 ■中華そば ■武生駅周辺にひしめく中華そばの名店 JR武生駅の周辺には、昔から中華そばをメニューにしている店が多いという。 ラーメンというより、昔ながらの中華そばだ。鰹節や昆布でとった出汁を仕込んで、その出汁でそばつゆを作る。それに鶏ガラなどでとったスープとブレンドするのが一般的な作り方。 越前おろしそばの食文化とは根っこでつながっているといえる。スープが透き通っているのが特徴で、具は店によって違いがあるが、蒲鉾やハムが載っていることが多い。 見た目も美しく、食べたら病みつき。福井県に引っ越ししたくなること間違いなしだ。 福井県の人たちの食に対するこだわりは強く、福井は隠れた美食の土地といっても良い。 POINT「透き通ったスープ」黄金色のスープが、武生周辺の店で出される中華そばの特徴の一つ。福井県はおろしそばが名物のために慣れ親しんだ和の出汁をベースにした中華そばがご当地で愛されているのは当然かもしれない。 ■山むろ 出汁の効いた昔ながらの味わいを大正2年(1913)創業。店主の佐々木哲男さんで三代目。昆布と鰹節の出汁に鶏ガラ・豚骨スープをブレンドしたスープが絶妙の味。一日がかりで作る自家製チャーシューもうまい。 福井県越前市神明町1-8 TEL:0778-22-0699 営業時間:11:00~14:30、17:00~19:30(土日祝日の昼は11:00~15:00。火曜は昼のみ営業) 定休日:水曜 ■ボルガライス ■ボルガライスとは? オムライスの上にデデンと載るカツ!オムライスの上に豚カツが載った豪華グルメ。越前市では30年前からメニューに出す店があり、現在も増え続けているという。 写真はある店舗の一例。名前の由来には諸説あり、ロシアの大河や料理店の名前「ボルガ」、イタリアの地名など、今も正解は定まっていない。 文/阿部文枝 撮影/渡部健五