政党交付金導入と企業献金禁止の「セット論」、自民は否定…野党は30年前の発言引用し攻勢
衆院政治改革特別委員会で12日、政治資金規正法の再改正に向けて与野党が提出した9法案に対する質疑が始まった。自民党は、税金を原資とする政党交付金の導入は、企業・団体献金の禁止と引き換えではなかったとして、禁止には改めて否定的な姿勢を示した。
規正法改正の歴史 強調
「我が党は当時から個人献金、企業・団体献金、公的助成の(三つの)バランスが重要だと議論してきた」。自民の長谷川淳二氏は12日の特別委でこう述べ、1994年に政党助成法が成立して政党交付金が導入されて以来、自民の立ち位置は一貫していると強調した。
答弁では、総務省の笠置隆範選挙部長が、同法と同時に成立した改正規正法の付則の条文を読み上げた。9条で、政治家個人への企業献金は5年後の禁止がうたわれる一方、10条では、個人献金の広がり具合や政党交付金を受けた「政党財政の状況」などを踏まえて、政党などへの企業献金は5年後に「あり方を見直す」との表現にとどめている。
付則9条の禁止部分は99年に既に措置されており、長谷川氏は「政党助成とセットで禁止ではない。見直しが立法意思だ」と述べた。
自民が30年前の経緯を詳細に説明するのは、立憲民主党などが、当時自民総裁だった河野洋平・元衆院議長の発言を引用し、禁止の論陣を張っているためだ。
河野氏は衆院によるインタビューで、当時の細川護熙首相との合意を踏まえ、政党交付金導入と企業・団体献金禁止が「トレードオフの関係だ」などと語っている。立民はこの発言をもとに、企業・団体献金の禁止は「30年来の宿題」などと自民に迫っている。
一方、石破首相(自民総裁)は当時の経緯を引き合いに河野氏の認識を否定している。自民内でも疑問視する声が多く、鈴木総務会長は6日の記者会見で「河野先生の思い入れが独り歩きして伝わっている」と語った。これに対し、立民の江田憲司氏は12日の特別委で、河野氏の参考人招致を提案した。
この日は、自民の規正法改正案に盛り込まれた「公開方法工夫支出」に対する質問も集中した。