第2次トランプ政権で高まる中東リスク 日本企業に求められる安全対策とは
第2次トランプ政権の発足を受け、親イスラエル・反イランの外交姿勢が再び顕著になる可能性があります。トランプ大統領は1期目にエルサレムをイスラエルの首都として認定し、イラン核合意から一方的に離脱するなど強硬な外交姿勢を貫きました。2期目もその姿勢を示すことが予想され、中東地域の緊張が続く中、日本企業にとっても無視できないリスクが浮上しています。 【写真】命の尊厳を掲げる大阪・関西万博 ガザへの攻撃続けるイスラエルが参加へ 問われる日本の姿勢
第2次トランプ政権の外交方針
トランプ大統領は共和党の大勝を受けて再任され、国務長官には対イラン強硬派で知られるマルコ・ルビオ氏、安全保障担当の大統領補佐官には特殊部隊出身のマイク・ウォルツ氏が起用される見込みです。 トランプ氏は1期目でイスラエルとの関係を強化し、エルサレムを首都と認定して大使館を移転。また、イラン核合意から離脱するなど、反イラン路線を貫きました。この方針は2期目でも継続されると見られています。こうした中、イスラエルとイランの緊張がさらに高まる可能性も排除できず、日本企業の間でも懸念の声が上がっています。
日本企業の懸念
中東に進出している日本企業や取引関係を持つ企業の間では、第2次トランプ政権下でのリスクに対する懸念が広がっています。 現地進出企業の課題として、例えば、中東の「シリコンバレー」とも呼ばれるイスラエルへの進出を計画している先端技術企業は、「今年4月と10月にイランがイスラエルに向けて大量のミサイルやドローンを発射したが、第2次トランプ政権の任期中にイスラエルとイランの間でもっと激しい衝突に発生する潜在的リスクがある」との懸念を深めており、現地に配置する駐在員の数を想定より少なくするか、もしくは進出計画自体を見直すことなどを検討しています。 また、湾岸諸国に駐在員を置いている製造業もリスクに敏感です。イスラエルとイランの衝突となれば、UAEやバーレーンなど湾岸諸国にある米軍基地が軍事的被害を被る可能性も排除できず、そうなれば現地から退避することが難しくなることから、多くのメディアで情勢が悪化していると報じた場合にはその時点で日本へ退避させる、駐在員の家族は極力帯同させない、シェルター付きの住居を選定することなどを検討しています。 トランプ政権1期目の2020年1月、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍の攻撃で死亡した際、中東情勢は極度に緊張が走りました。この際、日本企業は現地駐在員の安全確保に奔走しましたが、最悪の事態は回避されました。それでも派遣社員の一時帰国や事業計画の中断を余儀なくされたケースもあり、こうした教訓が再び生かされるべき局面に来ています。