「おやつタイム」で見る王位戦第1局、持ち時間が少ない藤井七冠 VS 持ち時間を“減らしたくない”渡辺明九段
コロナ禍以降(2020年以降)のタイトル戦しか経験していない、藤井七冠はおやつをどこで食べるのか。前日の記者会見で、おやつタイムに関する質問をぶつけてみた。 「私は従来通り、控え室で頂く予定でおります」と答えた藤井七冠。「私自身、タイトル戦に出始めたころからそのようなかたちでしたので、それ(控え室)でというふうに思っています」と、自身のスタイルを貫くことを明かした。 ルール上、持ち時間の消費につながる「おやつタイム」。“持ち時間を減らす事への懸念はあるか?”という質問に対して、藤井七冠は「タイトル戦ですと十分に長い持ち時間がありますので、そういったおやつを頂くことで気分転換ができるところが確実にある。もちろん持ち時間を使ってしまうところは当然ありますけど、いいところもあるのかなと思っています」と控え室で食べる意図を答えた。 持ち時間を“減らしても”、気分転換の意味も込めて、控え室でおやつを食べる藤井七冠。 持ち時間を“減らしたくない”ため、対局室でおやつを食べる渡辺九段。 この「持ち時間」に対する選択が、対局にどのような変化をもたらしていくのか。
王位戦開幕!スローペースの一日目
名古屋市の徳川園で行われた、王位戦七番勝負の第1局。対局室からは美しい庭園と池を望むことができる。池にはカルガモの親子が優雅に泳ぐ姿も見られ、訪れた人々の心を癒やしていた。 振り駒の結果、藤井七冠の先手で対局は始まった。最近は、AIでの研究が進んでいるため、序盤はハイペースで進むことが多いが、本局は、お互いに持ち時間を消費しながらの“スローペース”。
1日目午前のおやつは、藤井七冠が「へそくり餅」、渡辺九段が「季節のフルーツ餅」とどちらも餅を選択した。藤井七冠は、おやつを食べるため、対局室を出て控え室へ。渡辺九段のおやつは宣言通り、対局室に運ばれた。フルーツ餅を一口で頬張る姿を、対局の中継映像で見ることができた。
1日目午後のおやつはお互いに、「こぐまくんケーキ」を選択。「こぐまくんケーキ」は、名鉄運輸のマスコットキャラクターを模したかわいらしい見た目が特徴。ココアスポンジの中に、いちごムースがたっぷり入ったケーキだ。渡辺九段は、かわいいくまの顔にフォークをいれ、口へ運んでいった。 午後6時頃、45手目を藤井七冠が封じ手にし、1日目が終了。この時点で、お互いの“持ち時間”は約4時間となっていた。