天の川銀河の新たな伴銀河を2個発見 数が “少なすぎる” から “多すぎる” 問題へ
■伴銀河の謎は “数が多すぎる問題” へとシフト
今回の、伴銀河が多く見つかったこと自体は嬉しいニュースです。暗黒物質の量の推定に使われてきたΛ-CDMモデルに大きな問題はないことを示し、ミッシングサテライト問題が解決するからです。しかし、今回までに見つかった伴銀河の数からすると、天の川銀河の伴銀河の総数は220個ではなく、少なくとも500個にまで増えてしまいます。つまり、伴銀河の数は “数が少なすぎる問題” から “数が多すぎる問題” へとシフトしたと言えます。 現状では、なぜこれほどまでに伴銀河が多いのか、その理由までは分かっていません。1000個以上の暗黒物質の塊から、ある程度の重さを持つ矮小銀河が生成されるまでの過程を予測する現状のモデルについて、仮定された数値に大きな誤りがあるのか、もしくは想定していない未知の物理過程があるのかもしれません。この解決には、さらなる観測と研究が必要となります。 現在チリに建設中の「ヴェラ・C・ルービン天文台」では、さらに暗い伴銀河の発見が期待されています。新たな伴銀河の発見が、矮小銀河の形成に関する理論モデルの修正に役立つかもしれません。 ※天体名の一部に誤りがありました。以下修正させていただきました。 誤:おとめ座矮小銀河II(Virgo I) 正:おとめ座矮小銀河I(Virgo I) Source Daisuke Homma, et al. “Final results of the search for new Milky Way satellites in the Hyper Suprime-Cam Subaru Strategic Program survey: Discovery of two more candidates”. (Publications of the Astronomical Society of Japan) (arXiv) “天の川銀河に予測を超えた多くの衛星銀河を発見!”(すばる望遠鏡)
彩恵りり / sorae編集部