天の川銀河の新たな伴銀河を2個発見 数が “少なすぎる” から “多すぎる” 問題へ
■新たな伴銀河「ろくぶんぎ座矮小銀河II」と「おとめ座矮小銀河III」を発見
単純に観測された伴銀河の数が少ないという場合、観測状況を解決することで改善される可能性があります。本間氏などの研究チームは、「HSC-SSP」と呼ばれる大規模な観測プログラムで取得された膨大なデータを分析する作業を行いました。このプログラムは、国立天文台がハワイ島のマウナケア山頂に設置した「すばる望遠鏡」の8.2m主鏡と、超広視野主焦点カメラ「HSC」を組み合わせ、空の広い領域を観測するものです。 HSC-SSPのデータを分析する作業は既に始まっており、これまでに伴銀河の有力候補が3個見つかっています(※2)。今回『日本天文学会欧文研究報告』に投稿された論文では、HSC-SSPの分析に関する最終結果が報告されています。 ※2…「おとめ座矮小銀河I(Virgo I)」「くじら座矮小銀河III(Cetus III)」「うしかい座矮小銀河IV(Bootes IV)」 この論文では、天の川銀河の伴銀河の有力候補が新たに2個見つかったことが報告されました。それぞれ「ろくぶんぎ座矮小銀河II」と「おとめ座矮小銀河III」と名付けられたこれらの伴銀河は、いずれも見た目の明るさは20等級以下であり、地球からの距離はろくぶんぎ座矮小銀河IIが約41万光年、おとめ座矮小銀河IIIは約49万光年であると推定されています。 それでは、今回の最終報告を受けて、ミッシングサテライト問題はどのようになったのでしょうか? 今回の研究以前に、同じ空の領域では既に4個の矮小銀河(※3)が見つかっています。今回の有力候補を足せば9個となりますが、実はこの数には問題があります。この空の領域で見つかる伴銀河の数は、理論的には3~5個(3.9±0.9個)のはずであり、9個というのはあまりに多すぎるのです。 ※3…「ろくぶんぎ座矮小銀河(Sextans)」「しし座IV(Leo IV)」「しし座V(Leo V)」「ペガスス座矮小銀河III(Pegasus III)」