骨伝導と空気振動のハイブリッドは何がいい? クラファン実施中のワイヤレスイヤフォン「EO SPACE」を試す
コロナ禍以降のビデオ会議ニーズを受け、市場に増えたのが骨伝導タイプのイヤフォンです。そして骨伝導イヤフォンに新しい提案を加えたのが、今回紹介するFILLTUNE(東京都港区)の「EO SPACE」という商品。なんと骨伝導と空気振動(オープンイヤー型)のハイブリッドです。 【画像5点】シンプルなデザインの充電ケース 現在、GREENでクラウドファンディングを実施している商品ですが、プロジェクトページによるとハイブリッドにした理由は、ずばり“音質の向上”だそうです。でも、これって音漏れしにくい骨伝導のメリットをスポイルしてしまうんじゃ? 支援者には2025年3月以降に届く予定ですが、一足先にお借りして様々なシチュエーションで試してみました。 EO SPACEの見た目は特徴的で、人によってはファッションアイテムに見えるかもしれません。質感も光沢のある部分とマットな部分にきっちり分かれていて、質のいい仕上げになっています。 肝心の音質ですが、まさに「骨伝導と空気振動のハイブリッド」という、うたい文句どおりの音がします。高音域や空気感、抜けの良さは空気振動の部分でしっかりカバーしつつ、中低音域の強さはしっかりあって、イコライザーなどで低音をブーストしている音とは違う低音の良さがあります。 通常のオーディオで例えるなら、サブウーファーのあるシステムと思ってもらっていいと思います。これを実現しているのが、「Virtual 2Way」という1つの振動ユニットから骨伝導と空気振動という2つの方式で音を伝える技術。4Hz~の中低音域は骨伝導で、そこから上の中高音域は空気振動で鳴らしているとのことです。 EO SPACEのしっかりと低音が出ている感じは、音量を上げすぎたり、イコライザーの設定で低音を強調している設定にしているとEO SPACEの筐体そのものが振動でビリビリするほど。このビリビリは人によっては快不快あると思いますので、ビリビリが苦手な人は音量にご注意ください。というか、そもそもこのEO SPACEは音量を上げて、音圧をあげるみたいな使い方には向いていないのです。 今回、様々なシチュエーションで試用したのですが、中でも特徴が出たのが家の中。周囲に自分以外の人がいる中で使った時でした。 室内で常に自分だけは耳に心地いいBGMが流れていて、人の会話も聞こえて、そのまま電話もビデオ会議にも対応できます。これは実に快適でした。 例えば、小さいお子さんがいる環境で音楽も通話もしたいけど、せっかく寝たのに余計な音を出したくないというような場合、とてもいいわけです。つまりいろんなところでビデオ会議があるという人は持っていると役立つでしょう。マルチポイントに対応していますから、スマホとPC両方にペアリングしておいて、その時に音が出ている方に切り替わるのもビデオ会議用途しては合格点です。 その場にいるリアルな人の声はしっかり聞こえて、かつ音漏れはほぼ感じさせることもなく、音楽は控えめな音量でも中低域の音もしっかり聞こえます。この音のバランスが特になにも設定しなくても作り出せるというのは、この製品の特筆すべきなところでしょう。 音漏れについては、家人に隣に立ってもらってテストしましたが、スマホの最大音量近くになってやっと聞こえてくるというレベルで、50%程度の音量では全く聞こえないという結果でした。 通話の音は聞こえる声も極めてクリアで、近くにその人がいるような感覚になります。もちろん音楽を再生しているときに通話が始まった場合、音楽は自動的に音量が下がるので通話相手に聞こえることもありません。 一方、電車で移動しながら使うというシチュエーションでは、他にも良い商品はあるな、という印象です。周辺でたくさんの音が鳴り続けている中で、自分だけの音を聞きたいという意味では、耳を密閉するタイプのイヤフォンにはやはりかないません。これはどっちが良い/悪いではなく、自分の状況に合わせて使い分けるものだと思います。 EO SPACEは、IP67という水没して30分経っても大丈夫というスペックですので、お風呂やプールなどの水辺、また水が近くにあるキッチンなどでも安心して使えます。さすがにお風呂からビデオ会議をする人はそれほどいないとは思いますが、お風呂でも音楽を聞きながら、電話がかかってきても平気というスペックを求める人は意外といるのではないかと思います。