【闘病】高校生で心臓発作…原因は“不整脈源性右室心筋症”「見た目で判断しないで」
原因不明の心臓発作を起こす「不整脈源性右室心筋症」は、およそ1000~5000人に1人が発症するとされています。今回お話を聞いたのは、10代で「不整脈源性右室心筋症」を発症し、現在はICD(植込み型除細動器)と服薬治療で経過観察を行っている恋香さん。きっかけはどんな症状だったのでしょうか? 発症の経緯や治療、現在の日常生活についてお聞きしました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
体育の授業中に起きた、突然の倦怠感と頻脈。病院へ緊急搬送されて告げられた病名とは
編集部: はじめに恋香さんの発症した不整脈源性右室心筋症について教えてください。 恋香さん: 「不整脈源性右室心筋症」は右心室の心筋が原因不明の変性を起こし、心不全や心室性不整脈を引き起こす進行性の疾患です。遺伝的な要因がある可能性が示唆され、30歳前後の若い方に発症しやすいとされています。右心室の心筋が変性し、脂肪浸潤(心臓の周囲に脂肪がつく症状)や繊維化による心室の拡縮不全を起こします。 編集部: 恋香さんの場合、どのような経緯で発症し、診断されたのでしょうか? 恋香さん: 最初の心臓発作は高校生の頃の体育の授業中でした。突然立っていられないほどの倦怠感に襲われ、徐々に気持ち悪くなり保健室まで運んでもらって休んでいました。その時の保健室の先生によると、脈拍が異常に速かったそうです。とにかく体に力が入らず、気持ち悪くて10回以上は嘔吐しました。しばらく休んでも脈拍が速かったため近くの小さな病院を受診したところ、すぐに大きな病院へと連絡してくれました。 編集部: 大きな病院へ運ばれるまではどうでしたか? 恋香さん: ヘリコプターで搬送されている間、ずっと「眠らないで!」と声をかけられていたことをはっきりと覚えています。ですが、病院に着く頃には力尽きて寝てしまい、AEDで治療したと聞かされました。体育の授業から病院搬送まで3時間ほどかかったのですが、その間も心室頻拍が続き、一番速い時は脈拍が250になっていました。それからいくつも検査を行い、「不整脈源性右室心筋症」と診断がつきました。 編集部: 診断がついてから、どのような説明や治療が行われたのですか? 恋香さん: 当時は高校生だったので、最初のうちは「高校生の体にメスを入れるのは可哀そう」と主治医が言ってくださり、心臓の動きを抑える薬で様子を見ました。就職後の21歳にはICD(植込み型除細動器)を植え込み、現在も心臓をモニタリングしながら投薬を続けています。 編集部: 高校生という非常に若い年代での発症ですから、ショックも大きかったのではないですか? 恋香さん: まず心筋症というものをほとんど知らなかったので、携帯電話で調べました。ただ、私が診断された不整脈源性右室心筋症は比較的新しく発見されたもののようで、あまり情報がありませんでした。「また発作を起こしたら次は死んじゃうかな」という不安は強かったと思います。