【闘病】高校生で心臓発作…原因は“不整脈源性右室心筋症”「見た目で判断しないで」
薬が手放せない生活、自己管理を意識して暮らしている
編集部: 発症後の生活についても教えていただけますか? 恋香さん: 高校生の頃は、体育の授業に参加できなくなり、月に1度は遠くの病院まで通院するようになりました。体調面でも薬の副作用で日光にあたると顔が赤く腫れ、心拍数を薬で下げているので疲れやすさとふらつきがひどい時があります。 編集部: 治療中、恋香さんの心の支えになったものはありますか? 恋香さん: 「不整脈源性右室心筋症」は治る病気ではないので、いつも治療中になります。ただ、今は自分自身が経験して辛かったこと、痛かったことが誰かの役に立つ情報になればいいなと思うことが支えです。 編集部: 先ほど、発症時に死への恐怖を身近に感じたというお話もありました。そのことも踏まえて、過去の自分に声をかけるならどのような言葉をかけますか? 恋香さん: 病名がついた頃の私は、将来何ができるのか、どれくらい生きられるのか、何もわからないからこそ不安が大きかったと思います。突然死が怖いのは今も変わりませんが、結婚してくれる人もいて、子どもを産むこともできたので「そのまま頑張って生きて!」と言いたいです。
自分の経験がいつかきっと誰かの役に立つと信じている
編集部: 初めての心臓発作から10年以上が経過していますが、現在の体調や生活の様子について伺えますか? 恋香さん: 現在は子ども3人と、毎日走り回るような生活をしています。薬がないと発作を起こしてしまうようなので、薬を飲みながら過ごしています。実はこのインタビューの前月に一度発作を起こしましたが、今は特に症状もありません。血圧低下でめまいやふらつきがひどい時は、素直に長女を頼って、下の子の面倒を見てもらって休む時もあります。その分長女には甘くなりますね。 編集部: 日々の生活で取り組んでいることはありますか? 恋香さん: 体重が増えると苦しくなるので、体重管理のために食事には気を付けています。また、心臓の調子が悪化しないよう血液検査の数値を気にしています。 編集部: 不整脈源性右室心筋症について知らない方、普段病気を意識していない方へのアドバイスもお願いできますか? 恋香さん: 私の場合、心臓発作を起こした時に目に見える症状として倦怠感、嘔吐、頻脈がありました。私もですが、道端で嘔吐している人を見かけたら、誰でも声をかけようか少し迷うと思います。それでも「心臓発作かもしれない」「そうでなくても何かあるかもしれない」と思い、気にかけていただけるとありがたいです。そうでなくとも、「しんどそうだな」「辛そうだな」と思う人がいたら、遠慮せずに一言声をかけてあげてほしいです。 編集部: 本記事の読者へのメッセージもお願いします。 恋香さん: 辛い思いを乗り越えられた方法を誰かに伝えられるかもしれないと思うと、「この経験も無駄じゃなかったな」と思います。病気のことで悩んでいる人も、病気以外のことでつらい思いをしている人も、すべては人生の経験になると思って踏ん張っていけるよう願っています。 編集部: 最後に一番伝えたいことをお願いします。 恋香さん: 私のような内部障害は見た目でわかりにくい分、誤解されやすいです。私は障害者手帳を持っているのですが、ふらつきのひどい時に内部障害者用の駐車場に車を停めたら、「そこは障害者用だ!」と怒鳴られたこともあります。見た目でわかりにくいからと、不安な思いをする内部障害者が少しでもいなくなればと思います。また、ご自身の友人や家族のためにも、住む地域やスポーツを行う場所では、AEDのある場所を確認してほしいです。