ミニロケット打ち上げ失敗 JAXAが会見(全文1)落下予想区域内に機体着水
先月行われた世界最小クラスの小型ロケットの打ち上げ失敗について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13日午後7時半から記者会見を開き、原因の調査結果と対策を公表した。 【中継録画】ミニロケット打ち上げ失敗の原因は? JAXAが会見 このロケットは「SS-520 4号機」で全長約10メートルと電柱ほどの大きさ。50メートルを超す主力ロケットのH2Aなどと比べると5分の1程度のサイズで、開発コストも低く抑えられていた。 1月15日に鹿児島県肝付(きもつき)町の内之浦宇宙空間観測所から超小型衛星を搭載して打ち上げられたが、20秒後にデータが受信できなくなり、第2段への点火を中止。打ち上げ実験は失敗に終わった。
登壇者の紹介など
司会:それではお時間になりましたので、SS-520 4号機、実験失敗の原因究明結果および対策に係る記者説明会を開催いたします。まず登壇者の紹介をいたします。JAXA宇宙科学研究所、副所長、稲谷芳文でございます。そのお隣、JAXA宇宙科学研究所、宇宙飛翔工学研究系、准教授で今回の実験主任でございます羽生宏人でございます。その右隣、JAXA安全・信頼性推進部、参与の宇治野巧でございます。 では、まず冒頭、稲谷副所長のほうからお願いいたします。 稲谷:はい。皆さんこんばんは。 司会:マイク、マイク。 稲谷:どうもお集まりいただきましてありがとうございます。ご承知のように、SS-520 4号機は1月15日に実験をやるということで打ち上げましたが、結果はご案内のとおり、打ち上げ失敗ということで、残念な結果になりました。その後、われわれのほうで原因究明を進めてまいりまして、本日、文部科学省の調査・安全小委員会に、現在までにまとめた究明結果および対策について報告いたしましたので、その内容について今日は皆さんにご紹介したいと思います。今日はよろしくお願いいたします。 司会:では、羽生主任のほうから説明資料をお願いします。
実験結果概要について
羽生:それではお手元の資料ですけれども、先ほど、文科省さんのほうで説明をしてまいりました資料に基づきまして、このSS-520 4号機の実験失敗の原因究明結果および対策ということについてご説明差し上げたいと思います。 めくっていただきまして、目次としては実験結果概要と、2項目目が異常事象の事実関係、そして異常原因の解析と、推定原因ということで整理させていただいておりまして、その原因に基づきまして今後の対策ということを5項のところでまとめております。いろいろ専門用語が入ってくるのですが、略記という用語集のほうでそれぞれ解説を付けておりますので、こちらをご参照いただければと思います。 まず、実験結果概要についてご説明をいたします。まず、この実験の計画につきましては、この民生技術を用いてロケット、衛星の開発を行って、3キログラム程度の超小型衛星の打ち上げ実証を行うということになっておりました。機体はこのSS-520という観測ロケットをベースとした2段式のロケットを3段式に改修して行うという、これがSS-520 4号機となっておりました。飛行計画ですけれども、まず第1段の燃焼中、尾翼によるスピン安定で飛行して、第1段分離後にラムライン制御で姿勢変更を行うと。で、飛行安全判断に基づいて、この第2段点火許可コマンドを地上から送信して、以降のシーケンスを続行すると。これで第3段燃焼終了後に衛星を分離するという、こういう流れが計画でございました。