スーパーの看板内に1年住んでいた女性が発見される…PCもコーヒーマシンも完備、あだ名は「屋根忍者」
「重大な問題」と警官は警告
警官は、女性が店の敷地内にいることは「重大な責任問題」であり、店長が退去を求めていると女性に告げている。警官はまた、彼女が看板の中でどうやって厳しい冬を凌いだかなどを質問した。警官によると内部空間は、「ニンニクか何かのような」においがしたという。 ボディカメラの映像によると、警察署に連れて行くのかとおびえる女性に、警察官はそのようなことはしないと答えている。女性は逮捕・起訴を免れたが、店舗の許可なく看板内に戻った場合、逮捕されるおそれがあると警官は警告した。「ルーフ忍者と呼ばれているよ」と警官が伝えると、女性とのあいだに和やかな笑いが広がる一幕もあった。 店舗の店長は、女性が荷物を引き取りたいのであればそのように取り計らう姿勢をみせているという。店長は、女性が尋ねれば持ち物の保管場所を教えたいとしている。
アメリカで深刻化するホームレス問題
看板に1年間住み続けた例はめずらしいが、アメリカではホームレスが深刻な問題となっている。森の中や車の中、倉庫でテントを張って生活するケースも少なくない。 ミッドランドにある危機管理シェルター兼炊き出し所「オープン・ドア」のエグゼクティブ・ディレクターであるサラリン・テンプル氏は、彼女の組織に助けを求める人が増えていると、ニューヨーク・タイムズ紙に対し語っている。 昨年はランチを食べに来る人が毎日40人ほどだったが、今では2割増しの50人以上がやってくると話している。食べ物の工面に苦労し、およそ安全とは呼べない場所での生活を余儀なくされる人々が増えているようだ。 今回事件の起きた店舗があるミッドランドの人口は約4万2500人で、そのうち約9%が貧困状態にあるという。テンプル氏は、貧困ライン以下で生活することにより、人々は「透明人間」のように社会から見えにくい存在になってしまうと語る。 看板に住んだ「屋根忍者」の女性は、住居や食料を求めている人々がいることを思い出させる象徴的な事件となったようだ。
文:青葉やまと