「白目の面積を大きくする整形手術を受けた」37歳女性がお化け屋敷で“驚かせること”に人生を賭けるまで
恐怖をエンターテイメントの形に落とし込んで売る仕事がある。お化け屋敷のトータルプロデュースを手掛ける「怖がらせ隊」だ。単なるお化け屋敷の運営のみならず、クライアントの空きスペースなどを活用し、予算に応じたお化け屋敷の制作や演出なども行う。大学の学園祭などにおいて、静かなブームになりつつあるのだという。 もともとはゲームクリエイターとしてデジタルの世界にいた「怖がらせ隊」代表取締役・今出彩賀氏(37歳)が、お化け屋敷という古くから続くスタイルで身を立てるまでの道程は、予想外の波乱に満ちていた。 ⇒【写真】お化け屋敷のトータルプロデュースを手掛ける「怖がらせ隊」代表取締役・今出彩賀氏
休みの日は「心霊スポットに行く」家庭で育つ
いかにも利発そうで、よく笑う女性だ。取り扱っている「恐怖」という商品と裏腹に、今出氏は底抜けに明るい。 「やりたいと思ったことは絶対にやってしまうタイプなんですよ。常に面白いこと、ワクワクすることを追求したいと考えていて。幼少期の私にとって、ワクワクするのは怪談話でした。メジャーな怪談話はもちろん、子どもには敷居の高い『牡丹燈籠』なんかも好きでしたね」 今出氏の“ワクワク”を育てたのは、父親だ。しかも氏の家族行事は一風変わっている。 「同年代の子が喜ぶような人形ごっこなどはほとんど興味がなくて、父が読み聞かせてくれる怪談話が大好きでした。父も、私が喜ぶので、さらに与える――というような感じだったと思います。私は広島県の出身で、父も同じ地域で育ったんです。休みの日になると、家族みんなで地元のディープな心霊スポットによく遊びに行きました。思い返すと、我が家のピクニック代わりだったのかもしれません」 ところでホラー好きの今出氏だが、怖がりでもある。 「人を怖がらせる側の人間だからか、怖がりではないと誤解されることがあるのですが、かなり怖がりです(笑)。家族でお化け屋敷に行ったときも、『怖い』といって泣き出すこともしばしばで、父から『じゃあリタイアする?』なんて言われて泣きながら頑張ったりしていました。それは今でも変わっていなくて、むしろ恐怖は人一倍感じるほうだと思います」