「まずい」「なんていうラーメンを出してるんだ」との声も…。山形県の超人気ラーメン店「新旬屋 本店」が、東京でのイベント出店で得た学びと、そこから“再生”するまで
名古屋のラーメンイベントで「金の鶏中華」を提供したとき、一杯ずつ小鍋で作っていたらお客さんを待たせてしまい、やむなく事前に火入れして味付けした鶏肉を使うことになった。売り上げは上がったが決して満足感は得られず、自分の作りたいラーメンの方向性を改めて知ることになった。 翌日からオペレーションを戻し、一杯ずつ小鍋で仕込むことに。杯数は落ちてしまったが、妥協せず美味しい一杯を提供することが自分のやるべきことだと再認識した。
「今でもイベントに行くたびに、一つ一つ鍋で作っててバカじゃないの? と言われるのが嬉しくて(笑)。1500杯でも1600杯でも小鍋で一杯ずつ作って美味しい一杯を提供してきたことで今があります。 いろんなイベントや百貨店の催事にも呼んでいただき、全国の方が『金の鶏中華』を知ってくださったんですよね。著名な方も来てくれましたし、東京のイベントで食べて美味しかったのでと新庄まで食べに来てくれる人もたくさんいるんです」(半田さん)
■「大つけ麺博」で、「金の鶏つけ中華」が大当たり 「大つけ麺博」では「金の鶏つけ中華」を作り、これも大当たり。 地元ではまだまだとりもつラーメンや蕎麦屋の鶏中華のほうが人気が根強かったが、イベントでの反響から2015年頃から地元のメディアにも少しずつ取り上げられるようになった。 一気に火が点いたわけではなかったがじわじわとお客さんが増えてきたのである。半田さんはシミュレーションゴルフの店を従業員に預け、毎日山形市から1時間半かけて新庄の店まで通い、「金の鶏中華」をブラッシュアップさせていった。
定休日と中休みを作って仕込みにも時間をかけるようになったら、営業時間は短くなったのにさらに売り上げが上がっていった。しまいには売り上げが倍になり、半信半疑から確信に変わった。 2018年には店舗をさらに駅前に移転し、社屋を建てる。店名は「新旬屋 本店」とした。「金の鶏中華」をメインにし、他のメニューは曜日限定にするなどして、味作りも1から見直して改良を重ねた。 ■深夜営業から、三毛作営業へと変化していく