49歳のレジェンド、山本昌に秘策あり?
49歳6か月、中日の山本昌投手が1日、沖縄・読谷村の2軍キャンプ地で32年目となるキャンプをスタートさせた。ブルペンには入らなかったが、全メニューを精力的に消化。年齢を感じさせない動きが映えた。昨季は、新球に取り組んだが、50歳になる今季にも、新しい秘策を考えているとか。向上心を失わぬレジェンドは、ジェイミー・モイヤーが持っている世界最年長勝利記録更新に挑む。
12球団が一斉にキャンプインする初日に筆者は、山本昌を訪ねることにした。沖縄の北谷で行われた全選手の記念撮影に参加した山本昌は、2軍キャンプ地である読谷へ移動。オレンジ色のニューグラブを手にして32年目のシーズンをスタートさせた。入念なストレッチから、ダッシュ系のウォーミングアップを終えて、サブグラウンドに移動すると、小笠原孝コーチを相手にキャッチボールを始めた。 「回転いいでしょ? 去年はカットやったからおかしかったけど」 山本昌は、そう小笠原コーチに語りかけていた。 去年は「球数を減らしたい」とプロ31年目にしてカット、ツーシームという新球にチャレンジした。だが、カットを覚えたことで、フォームを崩した。肘が下がり、腕が遠回りしてストレートにまで狂いが生じたのである。その修正に時間がかかったが、2015年のシーズンのキャンプスタート時点では、フラットに戻ったという手ごたえがあるようだ。ペッパー、投内連携、室内でのバント練習にランニングと、ブルペンでのピッチング以外のすべてのメニューを消化した。常に声が出て、白い歯がこぼれる。実に楽しそうなのである。 ――32年目のシーズンが始まったね。 「またきたなあという感じだね」 ――実に楽しそうに見えた。 「去年より体調がいいんだ。それにマイペースでやらせてもらっているからね。まずはゲームで投げることのできるコンディション作り。去年は6日にブルペンに入ったけれど、今年も、それくらいから入れたらと考えているんだけどね」 ――去年は失敗はしたが、新球というチャレンジをした。今年も何か新しいチャレンジを? 「もちろん、でも今は内緒(笑)」 そう言ってレジェンドは口の前で人差し指を立てた。 評論家生活の初日に中日の1、2軍キャンプを取材していた引退したばかりの小田幸平氏に、先日、山本昌についての話を聞く機会があった。山本昌の専属捕手としてマスクをかぶる機会の多かった“元愛妻”は、こんな話をしていた。 「体が強いですから何歳まででもやりそうですよね。ただ、去年カットボールに取り組みましたよね。僕は『カットボールのサインは出しませんよ。ほかのボールがおかしくなりますよ』という話をしました。投げ方や真っ直ぐの使い方が違ってくるんです。案の定、カットの悪影響が出てしまいました。大事なのはコントロールされるストレートなんですよね」