49歳のレジェンド、山本昌に秘策あり?
山本昌は、ストレートの質にこだわりたいとも語っているが、49歳6か月にして新しくチャレンジする秘策とは、ストレートのレベルアップに通じるものなのだろうか。真偽のほどはブルペンに入れば判明してくるだろうが、その向上心こそが、山本昌をここまで支えてきたもののひとつだ。 オフに鳥取の小山裕史氏のジムでコンディションを整えてきた。網膜剥離手術の影響もなく、なにしろ昨季の1軍登板は、わずか3試合で1勝1敗だから肩肘への負担は、例年以上に少なかった。佐藤秀樹2軍チーフ投手コーチも「どこも痛い場所もなく、何十年もやっているピッチャーですから、第一クールの調整は任せています。その第一クールの遅れを実戦に向かう中で、どう戻していくかでしょう」という。32年目のベテランへの注文は、それほど多くはない。 しかし、山本昌が目標として立てている「ローテーションに入って15試合、10勝を目指して最低5勝」という数字をクリアするためには、復活してきた吉見、山井、大野、伊藤に加え、即戦力ルーキーに新外国人投手と、頭数だけは揃っている1軍の先発候補に割って入るほどの結果を春先から見せていかねばならない。世界最年長勝利記録は、ジェイミー・モイヤーがコロラド・ロッキーズ時代の2012年に記録した49歳151日。開幕時点で、その年齢を超えている山本昌は、今季、どこかで1勝さえすれば、その前人未踏の記録を更新するが、その前にチーム内競争という難敵が待ち受けている。 「9割は今年で終わりでしょうが、自分から引退とは言わない。結果が残れば、もう1年となるかもしれないしね」というのが、世間に渦巻く今季引退論に対する山本昌の考え方だ。 今年8月で50歳。永遠の野球小僧のような山本昌の飽くなき向上心が、不可能を可能にしてくれそうな予感がする。(文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)