より安全な医療を目指すため学びを続ける―医療の質・安全学会学術集会 29日から横浜で
◇「多職種」「学際」キーワードにプログラムを企画
医療の質・安全学会は「多職種」「学際」がキーワードであり、学術集会のプログラム構成もそれを意識して企画されています。アカデミックでありながら、実践研究や実体験に基づく成果など、日常的な活動について、現場の実践者からも発表ができる場になっています。また、今回は「海外から学ぶ」という意味で、海外からの講師も複数招聘しています。 私はもともと薬剤師として約10年働いた後で看護師になり、医療安全の管理者というキャリアを積んできました。その中で実感したのは、同じ医療界でありながら、看護師と薬剤師の認識や常識はまったく異なるということです。それは決して悪いことではなく、各分野の専門性に基づいて一人ひとりの患者さんと向き合い、医療を提供しています。患者さんによりよい医療を行うことができる一方で、残念ながら、さまざまな専門家が介在することが原因のコミュニケーションエラーにつながってしまうこともあります。私は薬学を学び、看護学を学んだことで、身をもってそうした職種ごとの違いによる危うさを体験してきました。しかし、1人で全ての分野を習得しなければ安全な医療が提供できないということはありません。チーム医療では、各専門家が、自らの専門知識をほかの専門家に分かりやすく説明できることも重要です。多職種が集結する今学術集会は、それぞれの専門性の立場で意見交換しながら知識を高めていく場であったらよいと思っています。 医療機器や設備の技術的進歩が果たす役割はとても重要で、今回の学術集会では、医療安全に関わるさまざまな製品や取り組みを紹介する約75社の企業展示が予定されています。医療分野では、こうしたメーカーの技術支援が患者さんの安全向上に大きく貢献するとともに、医療現場のスタッフの負担軽減にもつながっています。職種によっては、通常の業務の中ではなかなか会う機会がないメーカーの方々とも、医療現場で困っていることや、このような製品があるとよいといったことを直接話す機会となります。 なお、医療の質・安全学会学術集会では、特に優れた展示を選考委員会が選び表彰しています。