コンビニの中華まんケースは熱帯魚の水槽だった!? 中華まんケースの強化ガラスシェア100%のイケダガラス工場を見学した
次にコンビニを訪れた際には、この専用ケースを注意して見てほしい。驚くべきことに、ケースの製造メーカーは違っていても、外側の「コ」の字型ガラスはどのコンビニのものでも、ほぼ同じ形状であることに気づくだろう。 実は、全国のコンビニで使用されている中華まんケースのガラス部分は、ほぼ100%がイケダガラスによって製造されているのだ。
イケダガラスは1943年創業の総合ガラスメーカーで、建築、産業、自動車の3分野にわたりガラス製品を製造・販売している企業である。中でも、特殊な加熱処理と急冷を施すことでガラス全体に均一な強度を与える強化ガラスの分野で高い評価を得ている。 1981年に設立された同社の川越工場では、自社開発の強化炉を駆使して、家電や冷凍冷蔵ショーケース、遊戯機器などに使用される産業用強化ガラスを製造している。
現在は1981年から稼働している第一工場と、2006年に設立された第二工場で、合わせて約100名の工員が、日夜、強化ガラスの製造作業に勤しんでいて、中華まんケース用の強化ガラスは1日あたり約140枚生産されているという。
中華まんの需要が高まる冬に向け、ケース用の強化ガラスは春から夏にかけて受注し、9月ごろに出荷量のピークを迎えるという。この計画的な生産体制が、全国のコンビニ中華まんの安定供給を支えているのだ。 ちなみに、同工場で最も多く製造されているのは遊戯用の強化ガラスだ。そのほかにも電車のホーム可動柵やトンネルの照明カバーなどのさまざまな産業用ガラスを生産、加工している。そちらもとても気になるが、今回は主題の中華まんケースに集中しよう。
■イケダガラスの工場見学 川越工場を訪れた際に印象的だったのは、稼働中のガラス工場にもかかわらず、建物内が快適な温度に保たれていることだった。以前は相当な熱気に包まれていたそうだが、近年の空調システム強化により、働きやすい環境が整えられている。さらに、工場内は清掃が行き届き、チリ一つ落ちていない清潔さだった。 近代的な工場なので工程の多くは自動化されているが、検査など各所の重要なポイントでは、たくさんの人たちが忙しそうに立ち働いていた。 中華まんケース用の強化ガラスは、素板ガラスを「曲げ強化炉」に通すことで製造される。