「結婚するつもりで肉体関係を持ったのに…」上司に遊んで捨てられた女性。弁護士に相談したら“意外な回答”が
不倫相手との「結婚前提の交際」は認められない
――なぜ慰謝料請求が認められないのでしょうか? 「日本では重婚は認められないので、既婚者の方と結婚を前提にした交際は想定されておらず、『今の奥さんと離婚をしてあなたと結婚をする』という約束は無効であると考えられます。結婚を前提とした交際がない以上、信頼を裏切られたとしても貞操権に基づく慰謝料の請求はできないということになります」 ――では、もしお相手が結婚していることを知らなかった場合はどうでしょうか? 「そうですね、例えば、相手が既婚者であるのを隠して交際していて、途中で相手方が既婚者だということが発覚した場合、請求できる可能性はあります。 ただ、既婚者だということを知らなかったというのも、裁判所の認定は厳しいんですよ。指輪をしていなかったからとか、彼女がいるかどうか聞いたことがあるくらいだとダメなんです。『相手が独身だと言っていて、実際に結婚しようという話を積極的にしていた』くらいの事実がないと難しいんです」
肉体関係を持ったら逃げられた! 相手のことを訴えられる?
――既婚者ではなくお互い独身で、付き合い始めたけど体の関係を持ったら急に連絡が途切れてしまった場合はどうでしょうか? こういった相談、けっこう受けるんです。貞操権侵害で訴えたら、認められますか? 「それは、相手との交際が結婚を前提とした真剣な交際であったかによりますね。交際していたが結婚を前提にしていたわけではない交際では難しいでしょう」 ――そうなると、恋愛関係で訴えて認められるって、かなり難しいことなんですね。 「必ずしもそうとは限りません。精神的苦痛を受けたことが立証できれば、貞操権侵害に限らず一般的な慰謝料請求をすることができます。ただこのような請求は事案によって見立てが大きく変わるため、専門家に相談されるのが良いと思います」
「この人は大丈夫」と確証を持ってから交際したい
――なるほど。精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求して、認められる場合は、金額としてはどのくらいなんでしょうか? 「事案によるのでなんとも言いにくいですね。貞操権侵害などの類型化された慰謝料請求と異なり、類型化できない慰謝料請求では50万円くらいいけば多い部類に入るのではないでしょうか。貞操権侵害や、婚約破棄の慰謝料請求ですと100万~300万円くらいが認められていますが、一般的な慰謝料となると金額はぐんと下がりますね」 ――弁護士費用なども入れると、もし慰謝料請求が認められたとしても、費用の面ではマイナスになってしまう可能性がありますよね。 「そうですね、費用倒れになる可能性はあると思います」 ――そういった現状を踏まえると、やっぱり体の関係を持つ人や付き合う人というのは、「この人は大丈夫だな」という確証を持ってからでないといけないということですね。 「そういうことになりますね」 ======= かつては愛していたけれど、相手の嘘や不誠実さから愛が憎しみに変わった時、訴えるという手段をとる人もいます。ただし、残念ながら今回の話のような一般的な恋愛がらみの訴えは、なかなか法的には報われにくいようです。 中には防ぎようがないケースもありますが、付き合い始める前に、相手が信頼できる人なのか、きちんと判断できるようにしておくのが大切ですね。 【弁護士 内山悠太郎】 東京スタートアップ法律事務所 宮崎支店支店長。趣味のサーフィンのために宮崎に移住。著書に『スタートアップの法務ガイド』、『スタートアップの人事労務ガイド』(ともに中央経済社刊)がある。 <取材・文/田中亜依> 【田中亜依】 恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019
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